2016年2月16日火曜日

衣服の繊維がリウマチ発症に関係する!?

一昨日の日曜日は気温が25度近くあって、昨日の月曜日は夜には雪がちらついて、乱高下の激しい天候です。体調管理が難しいところに、インフルエンザも例年のピークを越えています。

さて、関節リウマチ関連で、ちょっと興味を引く話がネットに出ていました。

Annals of the rheumatic diseasesという、リウマチ関連ではそれなりに権威のある医学雑誌に昨年12月に掲載されたものを紹介している記事です。

マレーシアでの調査結果ですが、早期リウマチと診断された女性の職業を検討したということです。簡潔に結論をまとめると、衣服の縫製工場で働いた経験がある、つまり繊維の粉塵の曝露により発症のリスクが高まるというものです。

繊維の粉塵には、もとになる動物性・植物性繊維に混入しているいろいろな細菌も含まれていて、呼吸器感染症の誘因になっているということです。

確かにリウマチの発症と感染症は、昔から関係があることは指摘されていて、内在する先天的な遺伝子に含まれる発症素因に対して、トリガーとる後天的要素の一つと考えられています。

この論文では、対象となった患者さんのうち繊維粉塵の曝露経験があるのは4.5%、41人です。コントロールとなる健康な女性の集団では1.7%、15人。

比較する数が少ないところが、学術論文として不満を感じます。統計学で「有意な差」が出ると、何でも受け入れてしまう風潮がありますが、有意な差を作るのが統計学であり、検討対象が少ないことはしばしば問題になるものです。

本来は、このテーマでの検討に必要なのは、繊維粉塵の曝露経験者のうち、どのくらいの割合でリウマチを発症したかという数字です。それを他の職業経験者と比較することで、リスクかどうかを論じるのが本来の方法だと思います。

ここでは大元となる母集団はすでに発症している人たちですから、その中での職業経験の多い少ないは議論できますが、その他の職業については触れられていません。

もちろん、この論文の内容を否定するつもりはありませんが、検討する方法論としては、やや不十分という感じがします。

紹介しているサイトの記事は、母集団についてはふれずに、結論だけがクローズアップされる「ホンマでっか!? TV」式のもので、センセーショナルではありますが、そのまま単純に受け入れるのは問題がある。

いずれにしても、何らかの関連の可能性はあるわけで、まだリウマチ発症の根本的な原因が解明されていない現状では、予防の観点からもとっかかりになりうるテーマだと思います。