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2016年2月21日日曜日

シューベルト歌曲集のCDを探してみた

シューベルトの作曲した音楽は、活動期間が短いのに膨大な量が残っています。その大半を歌曲が占めておることは周知のことですが、その他は、交響曲、室内楽曲、器楽曲、そして宗教曲などで、そういえばちゃんとした協奏曲だけは無い。

歌曲王の異名を持つシューベルトですから、歌物をはずすわけにはいきません。とは言っても、元々歌物が苦手というのは、このブログでも過去に何度も書いたこと。

ところが、突然、バッハの教会音楽にはまってしまい、1年間ほとんどカンタータや受難曲ばかり聴いていたおかげで、シューベルトに戻ってみると歌曲も平気になったようです。

クラシックを聴かない人でも知っているのは、「アヴェ・マリア」、「野ばら」、「菩提樹」、「魔王」などの超有名曲。もちろん、これらの有名曲をちゃんとおさえた歌曲集のアルバムはたくさんあります。


主だった美声の持ち主であれば、一通り録音しているので、とりあえずバッハでお馴染みになった歌手の中から選んでもよかったのですが、シューベルトと言えば三大歌曲集、三大歌曲集と言えばディートリヒ・フィッシャー=ディスカウということに相場は決まっているようです。

ちなみに、三大歌曲集というのは、 「美しき水車小屋の娘(Die schöne Mullerin,1823)」、「冬の旅(Winterreise,1827)」、「白鳥の歌(Schwanengesang,1828)」の3つ。「冬の旅」は一番有名だと思いますし、実際出ているCDの数たるや物凄い。「白鳥の歌」は、シューベルト死後に編纂されたもの。

フィッシャー=ディスカウは、実にライフワークともいえるシューベルトの歌曲集全CD21枚の金字塔があります。クラシックCDデフレはありがたく、今では福田さん一人で夏目さんが数人帰ってくるくらいで買えちゃいます。

さすがに、うまい(?)んだと思うのですが、まだ声楽の良し悪しがよくわからない。さすがに、ひたすらピアノ伴奏のみで、ずっと聴いていると多少飽きてしまうのは否めない。

フィッシャー=ディスカウは男性独唱曲は網羅されていますが、女性歌唱曲や合唱曲も含めて完全制覇したいとなればHyperionよりCD50枚のコンプリート・セットもあります。

でも、さすがにいきなりこれに手をだしても、たぶん辛いことになるかも。ということで、まずは三大歌曲集をすべて収録している方を中心に、幅を広げてみるのがよいかと思いまして・・・

三大歌曲集を出している多くの歌手はバリトン、時にテノール。つまり男性が圧倒的に多い。そこで、女性歌手のものは無いかと・・・ありました。ナタリー・シュテュッツマンが、三大歌曲集のCDを出していて、しかもリマスターされた全部入りセットの廉価版も出ていました。

女性の伸びやかな声は、やはり聴きやすい。ピアノ伴奏のセデルグレンとも20年来のペアだそうで、出過ぎず、隠れ過ぎずの絶妙なバランスも申し分がありません。

そして、比較的新しいものでは、バッハのマタイ受難曲などでお馴染みのマーク・パドモアも、ベートーヴェンやシューベルトのソナタでお馴染みのポール。ルイスと組んでCDを出しています。

古楽系で活躍するエヴァンゲリストのイメージのパドモアですからフィッシャー=ディスカウとは一味も二味も違う歌い方をするだろうと期待してしまいます。

そして、もう一つ興味深いのが、なんと日本語の「冬の旅」。日本語で冬の旅というと、なんか昔のテレビ・ドラマを思い出しますが、こちらは何と、松本隆が邦訳した歌詞をつけたものがある。CDブックとして、本屋さんで売っています。

やはりドイツ語がまったくわからないので、歌詞の内容を理解して聴くか聴かないかで大違いになってしまいます。特に「冬の旅」では、歌詞の内容を考えながら聴くと、ただでさえ暗く絶望の音楽に、完全に立ち直れないくらいの重さが加わります。