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2016年2月23日火曜日

MRI検査


自分が医者になっての30年間の中で、医療に対して革命的だったと思える新しい画像検査がMRI検査です。

MRI検査は、最新のPETなどよりも情報は少ないかもしれませんが、それでも以前に行われていた造影検査の大部分を駆逐し、かつ大きな普及率により、スタンダードな検査として定着しました。

MRIというのは、Magnetic Resonance Imaging の略で、そのまま訳せば磁気共鳴画像となりますが、実はこれでは何のことかよくわからない。

本当は頭にNがついていたのですが、それはNuclearで原子核のこと。NMR (Nuclear Magnetic Resonance)という核磁気共鳴という状態を利用して画を作るのです。

ただ核という言葉に神経質になりがちな某国では、放射能を浴びると誤解されては困るということで、Nを無くすようになり定着したという経緯があります(・・・だったと思います)が、当然核エネルギーは一切使いません。

この検査は自分が学生の時には、まったく教わらなかったもので、医者になって1年目に研修医として放射線科にローテーションした時、講師の先生から教えてもらいました。

その先生は、「これから整形外科はこの検査なしではやっていけなくなるから、これを全部読め」といい、たぶん200ページくらいの比較的厚くは無い英語の本を渡されました。

厚くは無いといっても、1年目の医者にとっては、英語の、しかも物理学的な原理などが中心の理論書を読めと言われても途方に暮れるしかなかったのですが、当時は日本で何台目というくらいの検査機器を設置しているところで、そもそも検査そのものを見ることもできません。

当時の整形外科の画像検査は、単純レントゲン、断層レントゲン、そして関節造影、脊椎造影が主にもので、あとは稀に血管造影とエコーがあるくらいでした。

CT検査の普及はしていましたので、断層レントゲンはしだいに無くなっていきましたが、造影検査はまだ重要なもので、大学でも関節造影と脊椎造影の当番があって、毎週せっせと検査を行っていたものです。

しかし、MRIがしだいに普及してくると、造影検査はほぼいらなくなり、現在では単純レントゲンとMRIがあれば、90%以上は事足りるという状況になっています。

患者さんに対して痛みを伴わずに、多くの情報を引き出すことができて、外来レベルで施行可能、しかも他の検査を不必要にしたということで、その存在意義は「革命的」ということができます。

PETがどんな優れていても、他の検査が無くなることはありません。ある意味、検査が増えて感謝さんの負担が増すものである以上、MRIにはかなわないということもできます。

ただし、磁力をつかう関係で体内に金属があると検査ができない場合がある。今は、体に埋め込むものはMRIに影響しない金属を利用したものが増えましたが、すべてではありません。

また、最近若者を中心にひろまったタトゥーも、インクの成分によっては磁性体を含むので、細かい振動によって摩擦熱を発生させて火傷を起こす場合があるので要注意です。

小さいクリニックでも設置しているところがありますが、残念ながら画像はかなり寂しいものがほとんどで、やはり最新の画像と比べるとかなり見劣りがします。

うちのクリニックでは、徒歩で行ける範囲に、大学病院並み(か、それ以上)の画像を作れる機器を設置している画像検査専門クリニックがあるので、そちらに依頼して検査を行っています。大きい病院よりも、すぐにけっこう立派な画像を撮影してくれるので、大変重宝しています。
うちのクリニックには、