2016年6月28日火曜日

和の空間


盆栽では、小さな鉢の中に植物を中心とした小さな仮想空間を作り上げることが大事・・・ということなんですが、育てることの楽しみとは別に、鑑賞できうることも忘れてはいけないということになっています。

となると、注目すべきは植物だけではなく、植えられた土の面、そして使っている鉢にも注意がいくわけで、そこんとこだけに注目した書物もけっこうあったりします。

さらに言うと、鑑賞のための晴れ舞台とも言えるのが「床の間」です。床の間に掛け軸と共に置かれた盆栽は、いろいろな意味を込めてあるわけで、それを機微に感じ取る感性の有無を試されているようです。

奥が深い・・・ため息が出るだけなんですが、つまるところ和の美学全般の知識を持たないと、盆栽もただの鉢植えと大差ないことになってしまうわけで、そこんとこを掘り進むことが大切なことがわかってきました。

ところが、残念ながら当然自宅は洋風の住宅で、畳の間はありません。襖、障子といった和風のものすら無い。

もっとも、最近はモダン盆栽という言葉もあるようで、現代のライフスタイルにマッチするような、古典的な習わしに縛られない考え方も受け入れられています。


小林國男さんの春花園は、伝統的な美学を追及しているように感じました。一方、山田香織さんの精華園は、伝統を受け継ぎつつも、モダンな感性と女性らしい柔らかさを取り込んだところが、今風という感じです。

和の空間を持たない自分のような生活の中では、自分で作って楽しむ盆栽としては精華園、盆栽本来の伝統美を鑑賞するなら春花園が向いているように思いました。

今更、自宅を改装するわけにもいきませんが、家のどこかに和的なパーツの一つくらいはあってもいいかな・・・と思うのは、モダン盆栽と割り切ったとしても、消し飛んでしまいそうな小盆栽だからこそ飾る場所がちゃんとしていた方が見栄えがするかもしれません。