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2016年6月19日日曜日

水遣り三年


とりあえず、知識も道具も無しで盆栽を始めてしまったのですが、ちょっと踏み入っただけでも、これはなかなか侮れない深い楽しみがありそうな予感がしました。

そもそも、普通の鉢植えと盆栽は何が違うのか。そんなことすら、まともに知らなかったんですが、何となく感じていたのは、そのまま植物を成長させるのが鉢植え、かっこよく形を作るのが盆栽くらいに思っていました。

まぁ、概ね間違ってはいないようですが、盆栽はそれだけではないようです。盆栽で対象としている植物は、ほとんどが樹木。つまり、適切な管理をすれば何年、何十年も鉢の中で生き続け、有名なものでは樹齢数百年というものすらある。

つまり、盆栽には完成がないというところがすごい。人の寿命を超えて、何世代にも渡って少しずつ手が入り、鉢の中に一つの自然環境を再現させていくわけで、それはもう「小宇宙」という呼び方すら憚らないもの。

・・・って、素人がやれることは、そんなに大袈裟なことではなく、なかば鉢植えの延長みたいなものでしかないのですが、それでもいくつかある程度出来上がった鉢を揃えてみると、自分でも「小宇宙」を作ってみたくなるというものです。

もっとも、美術品と呼べるくらいの、大きな立派なものはとても扱いきれませんから、とにかく手の平に乗せられるくらいの大きさの鉢を使う小盆栽、あるいは指先で持てる程度の豆盆栽(ミニ盆栽)で楽しむのが分相応というものです。

ただし、小さいから簡単かというと、実はそうでもない。豆盆栽は入る土の量も少なく、むしろ植物を枯らさないように管理することは楽ではないようです。小さくても、大きくても、手間のかけ方にはそれほど差がないみたい。

誰でも最初に思うことは、「枯らさないだろうか」という心配です。植物が枯れる原因はいろいろあるわけですが、まず一番は不適切な水遣りでしょう。

盆栽の世界では「水遣り三年」というくらい、水遣りを習得するのは大変なことらしい。植物によって、湿った環境を好むものと乾いた環境を好むものがあり、季節によって気温・湿度が違うと細かい調節が必要。

ただ水をかけるだけなら、誰にでもできることで、そんなに大袈裟なことではないと思うのですが、最高の状態を維持するためには、小宇宙の環境がどうなっているか察知ではないといけないわけで、その辺が理解できるようになるのに3年かかるということだと思います。

しかも、どんなに量をこなしても、植物には1年を通しての変化があるわけで、最低2回以上四季の変化を体験しないとわからないことがたくさんあります。ですから、そういう意味を込めての三年なんだろうと思います。


最初の鉢を購入してから、ずっと水道をチョロチョロ出して、一日一回、直接鉢に水をかけていたんですが、気温が高くなってきましたので、どうも一日一回では足りなさそうですし、鉢の数を増えてきたので、一個一個を蛇口の下に運ぶのも大変になってきました。

そんなでは自分が成長しませから、とりあえず、盆栽専用の道具としては初めて如雨露を買いました。ジョーロではありません、如雨露です。

一般の園芸用のジョーロは、水がドバーっと出てしまうので、鉢の土をはじいてしまいます。盆栽用に蓮口の穴が細かく、繊細なシャワーになる盆栽用に使える如雨露は、正直高いですね。

八木光 特製如雨露(銅製) 1.2L
例によってamazonでいろいろ探して、何万円もするものはさすがに無理なので、6千円ちょいで買える小さめの銅製如雨露を見つけました。超高級品に比べてどうなのかはわかりませんが、これでも土を飛ばさない十分に細かいシャワーが可能でした。

まずは、最初の一歩を踏み出したみたいな感じがします。次は剪定、そして植え替えというように、季節が変わると次々と大事なステップが出てくるので、それに合わせて道具も少しづつ揃えていきたいと思います。