2016年6月23日木曜日

第17回田園都市リウマチフォーラム

昨夜は、新横浜で勉強会です。この会は絶対に休むわけにはいかない・・・っていうのも、自分は運営側の立場で、主催者の一人としての役回りというのがあります。

昨日は症例検討の係でした。クリニックの場合、世の中に発表したくなるような珍しいケースは、ほとんどありません。出席した方々が意見をいろいろ出してもらえるように、誰もが経験しそうなケースを出しました。

つまり、何を使ってもリウマチのコントロールがうまくいかない例。しだいに使える薬が減ってきて、さてどうしようか悩む場合は、どこのクリニックでも必ずあるものです。

使ってきた薬の選択は間違っていないか、そもそもその順番が正しかったのか、今後はどうすればいいのか。検討すべきことはいろいろあります。

検討会で、いろいろな意見が出ると、知識の共有・標準化ができるし、参加者全体のレベル・アップにもつながると思っています。

さて、昨日の会のメインの講演会は東京山手メディカルセンターの徳田均先生の話。リウマチ診療の世界では、知らぬ人はいないくらいの有名人です。

徳田先生は、ご自身でリウマチそのものを治療するわけではありませんが、本来の専門は呼吸器内科で、リウマチの重要な合併症である肺病変については、おそらく日本一知識が豊富と言っても過言ではありません。

女子医科大学膠原病リウマチ痛風センターの客員教授もされていて、自分とも少なからず縁がある・・・とは言っても、徳田先生はこっちは当然知らないとは思いますが。

リウマチ患者さんのいろいろな合併症は、生物学的製剤を使う時代になって、呼吸器病変がクローズアップされるようになりました。

そもそも、何で肺に障害を起こすのか、そして生物学的製剤がどのように影響を及ぼすのか、基本的なところから、最新の知見をもとにどのように対応すべきかを解説していただき、ものすごく勉強になった講演でした。出席した先生方からも、大変よかったという意見がずいぶんとあったようです。

そもそも、肺の中は無菌というのは間違いで、肺の中にも常在菌が存在し、リウマチそのものの免疫的な反応や薬による抑制などが、細菌叢を変化させることがそもそもの始まりだというのです。

その結果、かなりの確率で気管支拡張症と細気管支炎という基本的な病態が起こっており、それらをもとに、間質性肺炎と呼ばれる合併症に至るケースが少なくない。

そしてニューモシスティスカリーニ肺炎と呼ばれる比較的古くから知られている特殊な肺炎や、最近問題になってきた非結核性好酸菌症という問題が、単なる感染症ではなく、免疫反応の異常から発生することをわかりやすく解説していただけました。

またそれらの病態を把握するためには、単純胸部レントゲン写真だけでは不十分で、生物学的製剤の時代では最新機種による胸部CT写真が必須であることを、たいへん強調されていました。

胸部CTは、今までもクリニックのすぐ近くの画像検査専門クリニックに依頼して行っていましたが、今後はもっと適応を広く考えるように改めたいと思います。