盆栽の分類は、もちろんどんな植物を使うかが一番大事なところなんですが、もう一つ忘れてはいけないのが、どんな樹形なのかということ。つまり、形についても、一定のルールがあって、このあたりを無視してしまうと鉢植えと同じになってしまいます。
とりあえず、自分の始まったばかりの盆栽ライフでは、まだ樹形についてまではお見せできるようなものはありません。何年もかかって手を入れていくことで、やっと説得力を持った美しい形ができるものです。
ですから、最初にどのような形式に育てていくのかを、ちゃんと決めておくことが重要なこと。小さくても、自分の想像した成長の形を、うまく実現できることが盆栽と呼べる条件の一つと言えそうです。
いくつか、大宮盆栽美術館で写真を撮れた作品を見ながら、樹形を考えてみます。
まず、幹が上に向かってまっすぐ伸びていくのが「直幹(ちょっかん)」です。斜めになると「斜幹(しゃかん)」、S字状になると「模様木(もようぎ)」、幹が鉢よりも下に垂れ下がるのが「懸崖(けんがい)」となります。
写真はまさに直幹です。まっすぐを目指すのは、写真のような杉とか欅が多い。特に欅は、上で四方に枝が細かく広がる「箒作り(ほうきつくり)」がよくあって、一度は作り上げたいものです。
根っこが土の上に露出したようになったものは「根上がり」と呼んで、かなり足元がダイナミックな感じになって迫力が増します。
また斜幹で、枝を一定の方向に向けると、風に吹かれているような雰囲気がでてくるので「吹き流し」と呼んで、鉢の中に動的な雰囲気が生まれてきます。
幹の本数によっても、一本なら「単幹」、2本なら「双幹」、あとは偶数は嫌われ、「三幹」、「五幹」、「七幹」となり、それ以上は「株立ち」と呼びます。これらは一つの株から出ていることが大事。
いろいろな株をたくさん植える場合は「寄せ植え」で、見た目は寄せ植えでも根がつながっている場合は「根連なり」です。株立ちで根が癒合して板状に広がると「盤根」となります。
写真の山もみじは、見事な株立ちです。しかも、足元を見ると盤根が形成され、とても長い時間の軸を強調しています。
長い時間がかかって完成に近づく盆栽の象徴的な形状は、「舎利(しゃり)」、「神(じん)」とよばれる枯れた幹の白色化です。幹の一部がなったものが舎利で、枝全体は神と呼び、盆栽独特の神々しさが表れます。
舎利を作るテクニックというのがあるんですが、これはむやみやたらと作ってもしょうがない。やはり、樹の格というものがありますから、それなりに育った樹にあって初めて人の心に響くものだと思います。
せっかく盆栽を始めたからには、いつかはいろいろな樹形に挑戦して、舎利が入る見事なもの・・・まぁ、そこまでは高望みしないで、初心者は初心者らしく、とにかく枯らさないことを一番の目標でしばらくがんばりたいと思います。