2018年5月19日土曜日

アメリカンフットボール問題


今週、にわかにメディアで話題にされているのが、アメリカンフットボール。日本では、比較的マイナーなスポーツなので、ニュースになることはあまりありません。

たまにニュースになるのは、本家アメリカでの頂上決戦であるスーパーボールの話くらいですし、しかもそのハーフタイムショーに誰が出たとかということくらい。

実は、昔から自分はけっこう好きで、高校生の時、アメフト界では有名な後藤完夫氏が専門誌TOUCHDOWNを創刊し、しばらく買い続けました。

当時は、テレビでアメリカのプロリーグのみならず、大学リーグの試合も毎週放送されていたりして、NFLのステーショナリーグッズも販売されていました。

ところが、もう皆さんご存知のように、今回話題騒然としているのは日本大学チームの「悪質タックル」問題。5月6日の試合で、すでに先週なかばには小さなネットニュースになっていて知っていました。

アメフト好きとしては、日大VS関西はまさに名門同士の伝統の一戦であり、思わず注目しますが、YouTubeにアップされた動画は目を疑うものでした。

整形外科医の立場からも、関節の靭帯損傷や、場合によっては脊髄損傷の頻度が高いスポーツですから、訓練したアメフト選手のタックルの威力はどれだけ危険かは認識しています。

プレイがストップして力を抜いたQBに背後からタックルは、完全なルール無視、まさにQBを破壊するだけが目的としか思えない。こんなプレイは今まで見たことがない、あまりにも危険すぎる行為です。

プレイの中で、QBを潰しに行くという作戦は普通にありますが、これは完全にプレイが止まった後、それを判断できなかったと言い訳できるタイミングではありません。

理由がなんであれ、タックルを行った選手本人は、スポーツマンとしては失格。今後、アメフトをする資格はありません。チームとして、悪質な行為をその場で許容したかもしれない仲間の選手たちにも問題があります。

しかし、一選手が悪質な反則をして退場になっても、その選手個人には何も利益はありません。あの選手が精神的な異常を来しているのでなければ、何らかの形で監督の意図が伝わったとしか考えられない。

アメフトは高度に組織化され、監督の采配の元に選手が動くのですから、全ての責任は監督にあることは明白です。

アメフトの普及に尽力した後藤氏は、実はこの4月に亡くなりました。もしも後藤氏が生きていたら、どう思ったでしょうか。少なくとも、後藤氏が目にすることがなかったことが幸いです。