2018年5月22日火曜日

松本隆(日本語訳詞)・鈴木准(T) / シューベルト 「白鳥の歌」


シューベルトは多くの歌曲を作曲していますが、その中で三大歌曲集と呼ばれるのが、「美しき水車小屋の娘」、「冬の旅」、そして「白鳥の歌」です。

「美しき水車小屋の娘」と「冬の旅」は、ヴィルヘルム・ミュラーの詩に曲をつけたもの。順番に一連のストーリーがあります。

「白鳥の歌」はもシューベルトの死後に、友人たちが残されたものを歌曲集としてまとめたもの。新シューベルト全集では「レルシュタープとハイネの詩による13の歌曲」と ザイドルの詩による「鳩の使い」という扱いで、「白鳥の歌」という歌曲集は存在しません。

もともとドイツ語の歌詞ですから、日本人の自分は当然直接的に内容を理解することはできないので、まずは曲調の良し悪しから入ってしまい、あとから詩の内容を読んで理解することになる。

だったら、日本語に訳した歌詞で歌ってくれたらダイレクトに曲が頭に入ってくると思うじゃないですか。そこで、登場するのがこれです。

歌詞を日本語に訳したのは、松本隆です。自分の世代では、細野晴臣、大瀧詠一、松本隆、鈴木茂による「はっぴいえんど」で有名。そして、その後は多くのJPOPの作詞家として活躍しています。

松本隆は、近年はシューベルト作品の邦訳を積極的に行っており、この「白鳥の歌」により三大歌曲集の邦訳を完成させました。

さすがに、多くのヒット曲の歌詞を作っただけあって、日本語の詩の内容はわかりやすく、現代日本人に響きやすい言葉で語られます。

もちろん、ドイツ語の響きに慣れてしまうと、なんとなく違和感を感じるのは否めませんが、直接聞いて内容が頭に入ってくるのは大変助かる。

シューベルトの歌曲をこれだけで楽しむのは無理がありますが、お気に入りの歌手によるものと並べておくのがお勧めです。