2026年3月28日土曜日

スパイ・ゲーム (2001)

これは、一風変わった傑作スパイ映画で、スパイ活動のノウハウをいくつかの事例を通して明らかにしていきます。主演のロバート・レッドフォードは当時大ベテランの65才、ブラッド・ピットは40歳手前で人気俳優の仲間入りをしてまだ数年という時期です。監督は「トップ・ガン」のトニー・スコット。

ネイサン・ミュアー(ロバート・レッドフォード)はベテランのCIA工作員ですが、明日定年退職することになっていました。しかし、その日の朝、香港支局長のダンカンからの電話で、トム・ビショップ(ブラッド・ピット)が中国当局に逮捕されたという知らせを聞かされます。

目前に迫っていた米中通称会議に関わる盗聴の任務に就いていたはずのビショップが、独自に蘇州刑務所に収監されていた白人女性を救出しようとして失敗したのです。CIA本部では、ビショップが何故独断で行動したのかを調べるために、かつてビショップの上司であったミュアーを会議に同席させます。

ミュアーが初めてビショップと会ったのはベトナム戦争末期、敵将軍暗殺作戦でした。ミュアーは、狙撃手として見事に作戦を成功させたビショップの才能を評価してCIAに引き抜きます。ミュアーはビショップにスパイのイロハを教え込んでいきますが、東ドイツからの亡命を手助ける任務では、事態が発覚し亡命者を置き去りにするしかなくなります。その後亡命者は処刑され、ビショップはスパイの厳しい現実を突きつけられるのでした。

ミュアーはそれらの話を小出しにしながら、CIAがビショップを見捨てるつもりであることを察知し、退職後の生活に用意していた全財産を現金化しダンカンに送ります。ダンカンはその金で役人を買収し、刑務所を停電させるようにしました。ミュアーは、CIA長官のサインを偽造した指令書をアメリカ海軍に送り、蘇州刑務所襲撃・人質解放作戦を敢行させようとしていたのです。

アクションらしいアクションは冒頭のビショップの刑務所侵入のところくらいで、ほとんどはミュアーがビショップとの作戦を回想していく形でストーリーが進みます。この中で、スパイとして素人だったビショップが成長していく様子が描かれ、スパイとはどういうものかが見ている者に理解できるようになっている。

しかし、スパイが逮捕され処刑されるまで24時間というタイム・リミットがあるため、時々今の時刻が画面に表示され、緊張感を強くしていきます。また、直接現場で行動ができない状況で、ちょっと話しては会議室を抜け出すミュアーが、少しずつビショップ救出のために動くところが、サスペンスとして面白い。

非情に徹するミュアーに対して、人として情を捨てきれなかったビショップ。しかし、ミュアーも実は人であったことが、回想の中でのちょっとした会話を伏線として結末に大きく関わって来るのは、大変脚本がよく出来ていると思います。新旧イケメン俳優の競演も楽しめる作品です。