スマッシュ・ヒットしたイギリス=アメリカ合作のスパイ・アクション映画です。主人公たちが所属するキングスマンは、どの国にも属さず、正義のために世界を守る組織で、10人ほどいるメンバーは上流階級出身でアーサー王と円卓の騎士たちの名前をコード・ネームにしています。一人欠けると、新たなメンバーを選別し訓練しています。
先進的な研究をしている教授が誘拐され、キングスマンのメンバーの一人、ランスロットが救助に向かいますが殺されてしまいます。しかも、不思議なことに教授は何事も無かったかのように、再び大学に戻ってきました。
キングスマンのリーダーであるアーサー(マイケル・ケイン)は、新しいランスロットを誕生させるため、メンバーにそれぞれ候補生を見つけるように指示します。ガラハッドと呼ばれるハリー(コリン・ファース)は、候補生のリーに救われた過去があり、リーの息子であるエグジー(タロン・エガートン)に白羽の矢を立てます。
教官マーリン(マーク・ストロング)のもと危険な訓練をこなしていくうちに、少しずつ脱落するものがいて、最後はエグジーと女性候補生のロキシー(ソフィー・クックソン)だけになりました。最初にそれぞれの候補生は子犬を与えられていましたが、最後の試練はその子犬を撃ち殺せというものでした。エグジーは子犬を撃つことができず脱落しますが、ハリーは密かに彼を自分の元に連れ戻します。
一方、ランスロットを殺したのはヴァレンタイン(サミュエル・ジャクソン)という大富豪の一味であることが判明してきました。ヴァレンタインは、様々な問題を抱える地球を救うためと説明して、世界各国の富豪、学者、政治家などを洗脳していたのです。そして、不都合があった場合には首に埋め込んだチップによって抹殺もできるようにしていました。
ヴァレンタインは無料のSIMを世界中で配布していて、田舎の教会で何かのテストをしようとしていると知ったハリーは教会に潜り込みます。しかし、ウァレンタインがスイッチをONにしたことで、彼の配布したSIMを装着したスマートホンから、人々を狂暴化する信号が発せられ、ハリーも含め教会内は殺戮の嵐が吹き荒れ、ハリーもヴァレンタインにって殺されてしまいます。
すでにヴァレンタインに洗脳されていたアーサーに呼び出されたエグジーは、アーサーから仲間になるように言われますが、咄嗟の機転でアーサー倒します。マーリンから、もう信じられるのはエグジーとロキシーだけだと言われ、3人はアーサーのメンバー・コードを利用して敵の中枢に向かうのでした。
最近のスパイ物はシリアスな物ばかりになってしまったということで、ある程度ギャグの要素を忘れないようにしたいという理由で制作が始まったそうです。原作はコミックで、監督は「キック・アス」を手掛けたマシュー・ヴォーン。
場所がロンドンで、「007」を意識していることは間違いないのですが、緩急を自由自在に組み込んだアクション・シーンがスタイリッシュで見応えがあります。ただ、設定が弱いと言わざるをえない。言ってみれば民間のスパイなので、慈善事業として命をかけて悪人を叩きのめすのですが、「なんのために」という基本命題があまり浮かび上がってこないのです。
秘密組織のはずなのに、落第した候補生は家に帰るだけというのもピンと来ない。公式な捜査権があるわけではないので、言ってみればキングスマンたちが行っているのは私的な警察行為であって、見つかれば犯罪者です。国家のしがらみが拭えない007より自由かもしれませんが、もう少し彼らの立場を担保する何かがあったほうが良いように思いました。
