2011年10月18日火曜日

関節リウマチと超音波検査

超音波検査・・・というと、やたらと早そうですが、いわゆるエコー検査という画像診断技術の一つ。もともとお腹の状態を簡単に見たりするのに普及したものです。

自分も30年近く前に研修医として救急センターなどを経験した際に、使い方を勉強したものです。交通事故などで多発外傷の患者さんが運ばれてくると、レントゲンやCT検査の前にすぐ腹部エコーをチェックして、お腹の中に出血していないかを判断したりしたものです。

その後、整形外科の専門になってみると整形外科の領域ではあまりエコー検査の出番がない。肩の痛みで筋肉の断裂があるかどうかを見たりするのに利用したりしましたが、結局手術が必要そうになると関節造影検査などをあらためてすることになり、確定診断に用いられないため二度手間という印象でした。

また、筋肉の腱の断裂の診断に、特にリウマチ患者さんに起こりやすいのですが、利用出来るのですがこれはエコーをしなくても診断できるので、あえてエコー検査をする必要性がなかったりします。

エコー検査は、簡便ですぐにできて、患者さんに対する侵襲性、つまり悪い影響がほとんどないため大変優秀な検査です。しかし、大きな問題点があります。これは再現性ということで、つまり、誰がやっても、何回やっても、いつでも同じ結果が出せるかということについて難しい部分があります。

エコー検査は、検査をする上で、検査をする医師や技師の技術と器械の性能が大きく結果に影響するのです。ですから、検査で「こんな異常がありました」といわれても、それをどこでも再確認できるかというそうでもない。

ところが、時代は確実に進歩しており、器械の性能も格段の進歩をしました。より精度の高い画像が得られるようになり、また記録の面でもより簡便に結果の画像をのこすことが可能になっています。特に機能面では、単に深部の状態を絵として確認するだけから、血流の状態などを確認する定性的な検査もできるようになっています。

さて、そこで再び整形外科でもエコー検査に対する需要が出てきたというわけです。つまり関節リウマチの診断に使用するという流れがだいぶ本格化してきました。これは日本では横浜市立大学がかなりがんばっているところ。

早期診断の重要性が言われるようになって、レントゲンで変化が出るより前に初期の変化をキャッチする方法としてクローズアップされるようになってきました。ちょうど2年前に、関節リウマチでのエコー検査の有用性をクローズな会で勉強してから、機会があるこどに何度か講演を聴いて、開業医であっても専門性を維持して行くには必要であると考えていました。

自分の中でもある程度イメージができてきたので、最近は女子医の先生にアドバイスをもらったり、自分でも機種の選定を始めていたのですが、とにかく悩ましいのは検査器械の値段です。

何しろ、関節周囲の微少な血流をキャッチするためパワードップラーというけっこう高機能が使える機種でないと意味がりません。そうなるといいものは定価で数千万円なんてことになってしまう。ただし、この手の定価というのはあって無いようなもので、実際はその半額以下だったりするのですが、それでも数百万円以上もするものを、一介の開業医がおいそれと購入するわけにはいきません。

新品、無理なら中古も含めて、今は機種選定を行っているところですが、何とか年内には結論を出して、来年からはより早期のリウマチ診断や、あるいは整形外科領域のいろいろな問題の検査として活用していけるようにしたいと思います。