2021年6月8日火曜日

ダ・ヴィンチ・コード (2006)

ダン・ブラウンが著した同名の小説(2003)が原作。世界中でベスト・セラーを記録し、キリスト教についての深い知識を必要にするにも関わらず、日本でも大変評判になりました。

ハーヴァード大学の宗教象徴学教授、ロバート・ラングドンが活躍するシリーズで、本としては2作目になります。これをヒット作職人のロン・ハワードが監督して、主役のラングドンはトム・ハンクスが演じるというのですから、映画化では否が応にも着たが高まるというもの。

・・・なんですが、正直、もやもやが残りまくる出来。お世辞にもロン・ハワードやトム・ハンクスの代表作とは言い難い。何でかと言うと、かなりの長編小説で、しかもキリスト教徒でもあまり知られていないような蘊蓄満載ですから、2時間半の映画はストーリーをなぞっていくので精一杯。ましてや、キリスト教徒ではない自分のような者には、何が何だかわからないうちに話が進行してしまいます。

このあたりは、原作者ダン・ブラウンが製作総指揮で、脚本にもかなり参加しているところが関係しているのかもしれません。自分の生み出した作品を、最大限に形を残そうとしたところがありそうです。また、原作も映画もキリスト教として認めていない内容の話ですから、かなり宗教界との軋轢も生まれています。

パリのルーブル美術館の館長が殺され、死ぬ間際に自らレオナルド・ダ・ヴィンチの有名なウィトルウィウス的人体図を模したダイイング・メッセージを残す。本来ならダ・ヴィンチの大ファンは自分は、これだけでもう嬉しく小躍りしたくなる。

しかも、この原作が発行される数年前にパリにいったことがあるので、その時は中庭のクリスタルのピラミッドは工事中だったこともあって、映画でそれを見れるのもワクワクするというものです。

メッセージの意味を解くためにパリで講演中だったラングドン教授が警察に呼ばれて現場に向かう。すると、即、容疑者になっていて、いくらなんでも簡単に犯人と決めつけているファーシュ警部はよほどのバカか、さもなければ犯人側と勘繰りたくなる。しかも、この警部役がジャン・レノですから、ただの脇役のわけがない。

館長の孫であるソフィー(オドレイ・トトゥ)が出てきて、とにかく逃げましょうというわけで二人で逃亡。このあたりから、キリスト教的複雑怪奇な話が入り乱れてきるんですが、とにかくキリストの聖杯と、実はキリストはマグダラのマリアと結婚していて子どもを産んでいたというあたりが一番の謎らしい。

聖杯の説明で、ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」にまつわる謎が解説されるところで、ちょっと気を取り直しますが、これも昔からとっくに言われていたことで目新しい話ではありません。結局誰が誰の指示で動いて、誰が本当に悪者なのか理解できていないうちにクライマックスに突入です。

実は、2005年初版で原作本を買って読んでたんですよね。しかも、ヴィジュアル愛蔵版という豪華仕様のもの。ストーリーがたどっていく実際の史跡などの写真や図表が組み込まれていてなかなかの凝った編集のもの。600ページくらいあるんですが、当時は面白くて一気に読んだものの、やはり馴染みのないキリスト教の知識がなくて苦労した記憶があります。