娯楽映画なら、間違いなく一定水準以上の作品に仕上げるのが、監督リチャード・ドナーの腕。この映画も、コメディで軽く見られていると思いますが、なかなかの出来栄え。
しかも、80年代以降、めっきり少なくなった「西部劇」で、主演がメル・ギブソン、ジョディ・フォスター、ジェームス・ガーナーという組み合わせ。
ガーナーは、日本ではTVシリーズ「ロックフォードの事件メモ」で知られますが、実は彼のアメリカでの人気を上げたのは1957~1962年に放送されたTVシリーズの「マーヴェリック」でした。TVシリーズは、、ガーナーは最初の3シーズンで、ブレット・マーヴェリック役で主演しました。ガーナーは、ここではマーヴェリックではなく、連邦保安官と名乗るゼイン・クーパーを演じます。
ジョディ・フォスターは、彼女としては珍しいコメディエンヌに挑戦し、いかにも楽し気に詐欺師アナベルを演じています。メル・ギブソンも、それまで「マッドマックス」や「リーサル・ウェポン」などで、ハードな役柄が多かったのですが、やはりノリノリでギャンブラーになり切った感じ。
一攫千金を狙うギャンブラーのマーヴェリックは、大規模なポーカー大会の出場目指して、何とか大金の参加費を稼ぎ出そうという魂胆。そこに美貌の詐欺師アナベルと、連邦保安官を名乗るクーパーが加わり、三人は騙し合いながらの珍道中をすることになります。
騙し騙されの展開ですから、ストーリーについては見てのお楽しみ。派手なガン・ファイトがあるわけではありませんが、オールド・アメリカのほのぼのとした風景も含めて楽しめます。
また、過去の西部劇のパロディもたくさん出てくる。西部劇の古典的名作とされるジョン・ウェインの「駅馬車」ではインディアンに襲撃され御者が殺され、有名なスタント場面となりますが、ここでは老人の御者が単純に死んじゃって似たようなスタントを見せてくれます。
ポーカー大会を主催するのは、西部劇ではお馴染みのジェームズ・コバーン。また、初めの銀行強盗シーンでは、強盗役のダニー・グローヴァーとマーヴェリックのメル・ギブソンが訳アリの目くばせをしたりする。実は、ドナー監督の「リーサル・ウェポン」でお互い刑事としてバディを組んだ仲だったりするわけです。
つまり、この映画は肩肘張らずに、気楽に楽しめる時代物コメディとして、名作ではありませんがしっかりと楽しめるエンターテイメントとして良作と言えそうです。