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2021年6月18日金曜日

フライトプラン (2005)

飛行機物は好きなんですが、どうもハリウッドの作品となると、どうしても犯罪がらみのサスペンスまたはアクション物ばかりで、飛行機そのものは単なる箱扱いということは珍しくない。

この映画もそんな一本で、主演ジョディ・フォスターという点を除くと、残念ながらはっきり言ってB級と言わざるを得ない。監督はデヴュー作「タトゥー」が高評価だったロベルト・シュヴェンケ。

冒頭、カイル・プラット(ジョディ・フォスター)が夫がベルリンのアパートの屋上から転落して急死したため呆然となり、思い出とともに時間軸を行き来する感じは期待が高まります。夫の死に疑惑があり、カイルと娘のジュリアに何か悪意のあることが迫ってくる雰囲気がうまく描かれています。

カイルとジュリアは、夫の棺と共に空路ニューヨークに戻ることになりますが、ここからはほとんど飛行機の中という限定した場所だけが舞台になる。450人搭乗できるエアバスの実物大の機内のセットを作り、この中を走り回ることになるのですが、ほとんど動きが前後方向だけになるので、どうしてもシーンが単調になる。

離陸して3時間、カイルが目を覚ますとジュリアの姿が見えない。誰もこどもを見ていないといい、搭乗名簿にもこどもはいないと言われてしまう。実はカイルは、航空機メーカーに勤めていて、この飛行機の設計に携わったスタッフの一人。機内の隅々まで熟知していて、こどもが隠れることができそうな場所は想像できる。

乗り合わせていた航空保安官のカーソン(ピーター・サースガード)は、半狂乱でこどもの行方を探そうとするカイルに手錠をかけます。機長は地上からの連絡で、夫と共にジュリアも転落して死んだということをカイルに伝えます。誰の目からも急に最愛の家族を失い、カイルは妄想により正常な判断ができないのだと思われました。

しかし、出発時にジュリアが窓に指で書いたハートが自分の吐く息の湿気で浮かび上がったのを見たカイルは、間違いなくジュリアがいたことを確信します。彼女は、客席を混乱に陥れた隙に、まだ調べていなかった荷物室におり一つしかない棺を開けてみるのでした!!

と、まぁ、後がまだまだ続くのですが、いとも簡単に犯人をばらしてくれます。犯人は、X線検査が無い棺に爆弾を隠し、この飛行機に詳しいカイルを犯人に仕立て上げ、航空会社を脅迫し莫大な金を手に入れようとしていたのでした。

ただ、犯行の流れがわかるような伏線はほぼ無いと言ってもよく、犯人の登場がかなり唐突で気持ち的についていけないし、ストーリーを推進させるための必然性が感じられないところが痛い。

とにかく母強し(・・・強すぎる)を演じるジョディ・フォスターに、拍手喝采するだけの映画になってしまった感は否めません。