2021年6月7日月曜日

ジョン・ウィック パラベラム (2019)

キアヌ・リーブスが帰ってきた伝説の殺し屋を演じる人気シリーズの第3弾、目下のところ最新作です。シリーズ全作品を手掛ける監督はチャド・スタエルスキ。

このシリーズのために考えられた、独特の世界観を最初にまとめておきます。そもそも、裏社会では犯罪者たちの集団がたくさんあって、その中で世界をまたにかける強大な12のグルーブが集まったのが主席連合(ハイ・テーブル)です。カモッラ(イタリア)、コーサ・ノストラ(イタリア)、ンドランゲタ(イタリア)、チャイニーズ・マフィア(中国)、ロシアン・マフィア(ロシア)などが含まれています。

主席連合は、いろいろな組織同士の取引を安全に行うため、世界各地にコンチネンタル・ホテルを用意しており、その敷地内では殺しはしていけないという厳格な掟があり、破れば主席連合により粛清されます。いろいろなマフィアが集う関係で多くの殺し屋の社交場にもなっていて、殺し屋同士も顔馴染みになっている。また、彼らの間では独自の金貨が流通していて、ホテルの宿泊、武器の調達、死体の処理などに使われています。

主席連合の中には、誓印というロケット型のペンダントを用いた契約方法があります。開くと左右に血判を記すようになっています。片側に自分の血判を記して渡した相手の依頼は一度だけ履行しなければならないという決まりで、契約が終了すると相手が左側に血判を記してペンダントを返却します。この契約は、コンチネンタル・ホテルで記録・管理されています。

もともとジョン・ウィックが主な仕事を請け負っていたのはロシアン・マフィア。ボスは、ヴィゴ・タラソフでした。5年前に愛する女性と結婚するため組織を抜けたいジョン・ウィックは、カモッラの幹部、サンティーノ・ダントニオに誓印を渡し協力してもらっています。

さて、第三作は「パラベラム」というタイトル。ローマ帝国時代のラテン語の格言からきていて、「戦争の準備」という意味。前作で、コンチネンタル・ホテル内でサンティーノを殺したジョン・ウィックは、掟によって組織から抹殺の対象に指名されますが、コンチネンタル・ホテル支配人ウィストン(イアン・マクシェーン)の計らいで1時間の猶予をもらった直後から今作はスタート。

いきなり1500万ドルの懸賞金目当てに次から次へとジョン・ウィックの命を狙うものを倒して、たどり着いたのはルスカ・ロマのボス、ディレクター(アンジェリカ・ヒューストン)のもとでした。かつて、ディレクターは殺し屋としてのジョン・ウィックを育て上げた人物で、彼をカサブランカに渡らせます。

一方、主席連合の裁定人がやってくる。コンチネンタル・ホテルのウィストンには1時間の猶予を与えたこと、バワリー・キング(ローレンス・フィッシュバーン)にはジョンに銃と7発の弾丸を渡したことが掟に反するとし、二人に7日間のうちにそれぞれのポストを明け渡すように言います。またディレクターの部下もことごとく惨殺し、ディレクターに組織への忠誠をあらためて了承させます。

モロッコ・コンチネンタルの支配人、元殺し屋だったソフィア(ハル・ベリー)は、かつてジョンが誓印を受け取って助けたことがある。ジョンは、ソフィアにかつてのボス、ベラダとの面会を頼みます。ベラダはジョンに、主席連合の首長に会いたければ砂漠を彷徨えば、向こうから見つけてくれると教えますが、ソフィアの連れていた犬を撃ち殺したことでソフィアが激昂し、ジョンと二人でベラダと部下たちを壊滅させます。

ジョンはソフィアと別れ砂漠を歩いているうちに意識を失い、首長の部下に拾われます。気が付いたジョンに首長は「何故生きたいのだ?」と尋ね、ジョンは「妻との思い出を守るため」と答え、ウィストンを殺せば抹殺指令を撤回しようと申し出ました。ジョンは、結婚指輪をしていた左手薬指を自ら切り落とし忠誠を誓うのです。

裁定人は殺し屋ゼロに従わないキングの組織を潰させます。そしてキングもゼロに刀で切られ倒れます。ニューヨークに戻ったジョンに、すぐさまゼロが襲い掛かりますが、ぎりぎりでコンチネンタル・ホテルの敷地に手を伸ばして休戦に持ち込みました。ジョンはウィストンを殺すことはできず、ウィストンも裁定人の命令を拒否したため、主席連合はコンチネンタル・ホテルの聖域指定を解除し、強力な武装集団をホテルに送り込んできました。

そしてついに最終決戦が始まるのです。まだ新しい映画に入ると思いますので、ストーリー紹介はここまで。ただし、さらなる続編で、間違いなく主席連合全体との全面戦争に突入していくしかないラストでチャプター3は終了します。

ゼロは普段は寿司屋を営む日本人(?)らしいのですが、その初登場の場面で流れるのはきゃりーぱみゅぱみゅの「にんじゃりばんばん」というところが可笑しい。ハル・ベリーのソフィアも気になるキャラで、続編でウィック一派の一翼を担いそうな雰囲気。第1作から連続登場の礼儀正しいホテルのコンシェルジェ、シャロンも最後には襲撃部隊との戦いに参戦してより楽しみなキャラになりました。

ド派手な格闘シーンが続き、暴力的な映画であることは間違いないのですが、ジョン・ウィックをはじめ彼に味方する人々がが、とても人間的な感情から動いていることで、見ていて感情移入しやすく、その活躍に胸がすっとする高揚感を感じることができるのだと思います。