もともと脚本家として知られるドリュー・ピアースによる監督・脚本。10年後の2028年のロサンゼルスが舞台。暴動が発生し無秩序化した中で、会員制の犯罪者のみを引き受けるホテル兼病院でのストーリー。見所は・・・あえて言うなら、スペシャル・メイクで70代の老婆を演じるフォスターでしょうか。
銀行強盗に失敗して逃亡したワイキキは、警察に撃たれ重傷の弟ホノルルをかついでなんとかホテル・アルテミスに逃げ込みました。ホテルの経営者は、ロスを牛耳るウルフ・キンググ(ジェフ・ゴールドブラム)で、管理を任されているは看護師の老女ジーン・トーマス(ジョディ・フォスター)と巨漢のエベレスト。ジーンは早速3Dプリンターで損傷臓器のコピーを作り治療に当たります。
先に滞在客になっていたのは、武器商人のアカプルコと美人殺し屋のニース(ソフィア・ブテラ)。ニースは、ワイキキの元恋人で、ウルフ・キングを殺すために、わざとケガをしてホテルに入ったのです。ワイキキが銀行強盗で手に入れたペンを見て、ニースはそれがウルフ・キングの物で危険だから逃げた方が良いと忠告します。
その頃、アルテミスの裏口に、女性警察官のモーガンが重傷を負って助けを求めに来ます。モーガンは誰も知らないはずのジーンの名前を知っていて、驚いたジーンは知り合いであることに気が付き、規則を破ってホテル内に入れて助けるのでした。クスリで死んだジーンの息子ボーとモーガンは一番の仲良しだったのです。
さらに、ウルフ・キングが負傷したためホテルにやってきます。麻酔によって饒舌になったウルフ・キングは、ボーを殺したのが自分で、息子が死んで自暴自棄になったジーンを利用してホテルを作ったことを話す。その時、ニースが仕掛けた爆弾が爆発。混乱の中で、ニースはウルフ・キングを殺しますが、部下たちがなだれ込んでくる中、ジーンとワイキキは何とかホテルを脱出するのです。
・・・と、まあ、そんな感じの話なんですが、そもそも近未来である必然性がよくわからない。医療だけはちょっと未来的ですが、その他はイマイチです。街が暴動で混乱しているのもよくわからない。モーガンが突如出てきてというのもなんだかなという感じ。息子の過去を絡めるだけのストーリーの重みが感じられません。ペンの意味も???・・・
そもそも、このホテルは会員制で、武器の持ち込み禁止とか、中で殺し合いをしちゃいけないとか、互いに詮索をしないことなど、某映画の某ホテルとコンセプトが似ている。一応、病院ということで差別化を図っているのかもしれませんが、ジーンが率先して規則を破っちゃ設定が無いのと同じ。
見るべきところは、ニースを演じるソフィア・ブテラのスタイリッシュなアクションと、見るからによぼよぼしたジョディ・フォスターの老婆の演技でしょうか。ジョディはあまりにうまく演じるので、本当にこんなにお婆さんになっちゃったかと心配するくらいです。
そんなわけで、B級アクション映画並みの作品といわざるをえない。ただし、主役がお婆さんですから、なんともパッとしないところ。そんな映画です。