さて、この映画は2007年ですから、ジョディ45歳。製作総指揮にも名を連ねて、けっこう気合が入っている感じ。監督はニール・ジョーダンで、実のところあまり聞いたことが無い。基本的にはクライム・サスペンスなんですが、犯罪被害者の復讐劇という微妙なテーマの映画です。
ニューヨークでラジオのDJしているエリカ(ジョディ・フォスター)は、結婚を控えた恋人と夜の公園で3人の暴漢に襲われ恋人は死亡、自分も重傷を負い3週間も昏睡状態でした。退院して自分のアパートに戻っても、外に出るのが怖く、やっとの思いで捜査の進展を聞きたくて警察に行ってもまともに扱われない。
エリカは自分が生きていくために、ついに非合法の拳銃を手に入れてしまいます。コンビニで、偶然殺人が発生し、エリカは身を守るために犯人を射殺してしまいます。さらに、地下鉄で絡んできたチンピラも射殺してしまいます。売春と間違われて声をかけてきた男の車にはボロボになった女性がいて、エリカは拳銃で脅して車から降ろさせる。しかし、男が車で襲ってきたため。発砲し相手は死亡します。
これらの事件の担当になったマーサー刑事(テレンス・ハワード)は、現場で見かけたエリカに興味を持ちます。マスコミは、悪党を警察に変わって始末する連続事件として書き立てる。エリカは、マーサーに番組のためにとインタヴューをし、マーサーはオフレコで長年警察からうまく逃げている悪党の話をします。
エリカは、ついに自らの意思でこの悪党に近づき、ビルから突き落として墜落死させるのです。マーサーはいろいろな状況からエリカを怪しんでいますが、彼女に対してどこかで理解もするようになっていました。そして、襲われたときに奪われた指輪が質屋から発見され、エリカは売りに来た女から暴漢の所在を突き止める。
女から証拠となる携帯で録画した暴行時のビデオも送られてきたエリカは、「Goodbye」のメッセージと共にビデオをマーサーに転送し、彼らの棲家に乗り込むのでした。
犯罪被害者として、ものすごく同情できるところがあって、またそう思わせるようなストーリー展開があります。最初の3つの殺害事件は、なかば偶発的で、場合によっては正当防衛ともいえる。しかし、4つ目の事件は明らかに殺人であり、司法を無視した復讐というこの映画での「モラル」を逸脱しています。
それでも悪に対する制裁として、何とかギリギリの線で映画としては許されるのかもしれません。あえて書きませんが、最後の最後、暴漢たちへの復讐の結末は、さすがに問題ありです。これを肯定したら、リンチがまかり通る古い時代に逆戻りです。警察に対する信用も総崩れになってしまう。
途中までは、よくできた80点くらいのサスペンスですが、後味の悪さでー30点というところでしょうか。