2011年12月18日日曜日

トヨタ アクア (プリウスC) 減税・補助金との関係は?

自動車業界は、今年は震災の影響で軒並みブレーキがかかり、そこへ過去最高の円高、さらにタイの洪水で本体・部品の生産に影響が出たりと踏んだり蹴ったりでした。

日本の経済を牽引しているのは自動車産業と言ってもいいくらい、自動車業界の低迷は国全体に影響を及ぼすのでしょう。そこで、政府も来春までの予定だったエコカー減税(取得税と重量税の免税あるいは減税措置)の継続をする模様です。

さらに、2009年に行われたエコカー補助金も復活させると言うのですから驚きです。しかも、来年度予算ではなく今年度の補正予算として、しかも買い控えにならないように確定後は12月にさかのぼって対象とする方針ということで、もう自動車業界へのサービスもきわまった感があります。

そこで、思わずいろいろと勘ぐってしまいたくなるのが、今年の第4四半期から来年初頭にかけてトヨタ自動車の気合いが入った動き。

それというのも、プリウスを中心とした高燃費路線を拡張し、大ヒットした3代目プリウスを11月にマイナーチェンジ、12月26日にコンパクトハイブリッド専用車のアクア(アメリカでの名称はプリウスC)を発売。そして、1月30日にはプリウスPHVの発売が決まっています。

ホンダは、今年はフィットシャトルとフリードのハイブリッドを出してきましたが、一番の売れ筋のフィットについてはメジャーチェンジ前で大きな動きはありません。独自のハイブリッドシステムであるIMAは現行車に簡単に載せやすいシステムですが、その分性能面でトヨタよりも落ちてしまう。ちょうど、次期専用ハイブリッドの開発の狭間という状況です。

日産も電気自動車のリーフがカー・オブ・ザ・イアーを獲得した物の、他が無い。唯一のハイブリッドはフーガですが、実燃費で10km/Lそこそこでトヨタ・ホンダとは技術的に相当な差ができています。

減税にしても補助金にしても、国の大きなスポンサーである自動車業界にとっては商品の売れ行きという点ではたいへんありがたいことでしょう。

プリウスPHVは、それまでの補助的なモーターシステムから、エンジンがアシストする電気自動車ということで、完全電気自動車へ移行するための最後の形態と考えられます。

現行のプリウスは電気自動車としては、航続距離はわずかに数キロ程度ですが、PHVは25キロ程度走れて日常使いではほとんどガソリンを必要としません。発表されている燃費は驚異の61km/Lとなっていますから、おそらくガソリンエンジンの限界をはるかに超えています。

プリウスPHVについては、トヨタは11月末に発表し価格は320~420万円、すでにホームページもあり、公式に受注を開始しているのです。

それに対して、アクアについてのトヨタの動きはまったく不可解。プリウスPHVよりも1ヶ月早い12月26日に東京と岩手の生産拠点工場での同時発表としているものの、実は公式な価格などの発表はなく、正式な受注開始の案内もしていない。当然、ホームページにもいっさい情報は掲載されていません。

ディーラーにだけ通達された車の情報や価格だけを頼りに、事情通的な客が先行予約という形で注文を開始している状況です。それでも、小出しにしてきたニュースに加えて、先週の東京モーターショーでの実車の展示によりかなりの注目が集まっています。

アクアの3月までの年度内納車分5万8千台については、すでに先行予約で埋まりそうな勢いだというのです。つまり、先行予約の数で驚いたプリウスαの約2倍を越えるバックオーダーを抱えることになりそうな状況だということです。

プリウスPHVについては、いろいろな補助はあっても価格がどうしてもかなり高めであり、また充電設備などの問題もあり、トヨタとしてもそれほどバカ売れするとは思っていないでしょう。それに対して、アクアはプリウスでは大きい、価格が高いなどの理由で敬遠していた客層に対してビッグセールスとなることを想定しています。

ここまでのメディアに対する小出しのリーク情報が、むしろ期待値を下げる方向に向いていたことを考え、公式発表までは徹底的な秘密のベールに包むことにしたのかもしれません。また自社の競合車への販売台数への影響を考慮しているとも考えられます。

実際の価格からすると、このクラスの車としては一般の人が想定するよりもかなり高めになっていますから、ここまで秘密を通していたのも、エコカー減税の延長・補助金の復活というニュースによって、その割高感が帳消しになるのを待っていたというのが本当かもしれません。

まぁ、いずれにしても、あと1週間するとすべてがわかることになりますけど。どういう発表となるのか、注目です。