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2011年12月5日月曜日

Julia Fischer / Tchaikovsky Violin Concerto

協奏曲というジャンルは・・・ちょっと苦手。大編成オーケストラというのは、個人プレイが許されないので、一人一人の演奏者の力がよくわからない。

交響曲となると、まさに指揮者がオーケストラという楽器を扱うわけで、指揮者の解釈が決め手。名だたる指揮者によって、同じ曲でもずいぶんと違って聞こえることは認めますが、あまり面白みが感じられない。

その点、協奏曲はメインとなるソロイストがいて、どのように自分の個性を出していくかというところがいい。ただし、オーケストラの伴奏を無視して好き勝手に演奏するわけにはいきません。

バロックの時代、J.S.バッハにも協奏曲というジャンルはありますが、どちらかというとアンサンブル中心の中で、時折独奏が混ざっているという感じ。

モーツァルトのたくさんあるピアノ協奏曲は、だいぶらしくなってきましたが、それでも全体との調和が重視されていることは間違いない。

このジャンルでも、ソロイストを引き立てて、オーケストラとの対比を明解にしたのはベートーヴェンからじゃないですかね。

古今東西、有名な協奏曲はたくさんあるわけですが、チャイコフスキーのピアノ協奏曲とヴァイオリン協奏曲は、その完成度からもBEST10に必ずや入ってくるものでしょう。

特にヴァイオリン協奏曲は、その昔千住真理子の1986年のデヴュー盤におさめられていて、その素晴らしい音色で自分の中ではえらく感動したものでした。

はじめて、車の中で聴いたクラシックで、この細いヴァイオリンの音がちゃんと聴けるというのは、車内の静かさもずいぶんとよくなったものだと思いました。

ユリアの盤は2006年のもので、比較的最近のもの。一人で演奏しているとは思えないような、音色の変化はなかなかのもの。ただし、残念ながらオーケストラが弱い。このあたりが、PentaToneという弱小レーベルの哀しいところ。

ムターのような超弩級ベルリンフィルというのもどうかと思いますが、もう少し張りのあるオーケストラだともっと良かったかと思います。そのあたりが、ユリアのメジャーDECCAへの移籍につながっているのかもしれません。