キリストの昇天は、一般に言う「死」ではなく、栄光の体を持って天に上がるもの。キリスト教徒ではない自分には、もちろんなかなか理解し難いことではありますが、キリストを神格化するというとあまり夢がない。
磔刑により一度「死んだ」のち、キリストは蘇り神の国について40日間語り続け、そして昇天したとされていて、今日はそれを記念する昇天祭の記念日です。
J.S.バッハは昇天祭のためには
BWV 11 神をそのもろもろの国にて頌め
という長めのカンタータがあります。通常はオラトリオとして扱われているので、バッハが作曲した3つのオラトリオの一つとされています(あと2つはクリスマス・オラトリオ、復活祭オラトリオ)。
ガーディナー先生の録音は、復活祭関連を集めて、通常のリリースでは最終巻となるVOL.28におさるられていました。
2013年は、ガーディナー先生はCDの録音だけでなく、コンサートでも盛んに演奏していたようで、YouTubeではBBC promsでの演奏が、高解像度で視聴できて嬉しい限りです。
復活祭オラトリオは、開始早々、高らかに鳴り響く金管楽器の喜びに満ちた音楽。この昇天祭も、同じような雰囲気で、初めて聴くとどっちがどっちかわかりにくいかもしれません。
日本が誇る鈴木雅明率いる世界のBCL(バッハ・コレギアム・ジャパン)の演奏は、復活祭オラトリオとのカップリングで、鈴木氏の本当に真面目に音楽に取り組む姿勢がそのまま録音された感じ。
もうちょっと、歓喜の高揚感があってもいいかもという感じがしないわけではありませんが、あわてず騒がずじっくりと音楽を演奏するところは素晴らしい。
毎週のカンタータ以外に、こういう特別な記念日が入ってくると、教会暦に沿ってバッハを聴いて行くと言う試みは、大変忙しくなります。