磔刑から気積の復活を遂げ、いろいろ現世での最後の活動をしていたキリストも、時間がだいぶなくなって、いよいよ今週の木曜日は昇天祭です。
復活節後第5主日のためのバッハのカンタータは2曲残っています。
BWV 86 まことに、まことに汝らに告ぐ
BWV 87 今までは汝らなにをもわが名によりて
いずれも、ライブツィヒに着任してから作られたもの。復活後のこの期間のカンタータは、おめでとう気分が勝っているのか、比較的重々しい感じのものが少ないので、気楽に聴きやすい。
ガーディナー先生は、実際の演奏会にあたって、もう一つ、使途不明のカンタータを一緒に収録しています。
BWV 97 わがなす すべての業に
264年も前に亡くなったJ.S.バッハですが、研究者と呼ばれる方々の努力というのは凄いもので、教会、世俗合わせて220曲程度あるカンタータのすべての作曲時期は特定されています。
その大半で、いつの何の時のために作られたかもわかっていますが、中にどうしても使いみちがわからないというものが何曲か残っています。
歌詞の内容から、教会用か世俗的目的かは想像できるとしても、「初演」された聖トーマス教会にも、資料が残されていないのでしょう。このBWV 97についても、夏ごろのものくらいと推定されています。
この曲では、当時は少年合唱隊と大人の男性合唱隊が絡み合うように歌うところから始まり、これがなかなか印象的だったりするんですね。