今日の日曜日は、復活祭後の第4主日です。キリストが昇天するまで、もう少し。
バッハが用意したカンタータで、この日のためのものは2つ残っています。
BWV 166 汝はいずこに行くや?
BWV 108 わが去るは汝らの益なり
いずれも、比較的おとなしい感じで、寂しさの漂うような曲調です。
ガーディナー先生の全集では、同じCDにもう一つ、
BWV117 讃美と栄光 至高の善なる者にあれ
がはいっていますが、これは使途不明で、何用に作曲したかはわかっていません。
そもそも、バッハは5年間分の教会暦に即したカンタータを作曲したことが記録されています。これはおよそ300曲のはずで、現存するのは200曲。あとの100曲は散逸してしまったらしい。
なんで、そうなるのかというと、そもそもバッハは生きているときは声楽作曲家としての知名度はほとんどなかったわけで、聖トーマス教会のオルガン奏者として名をはせていたというわけです。死後、急速にその名前は忘れられていきました。
メンデルスゾーンが1829年にマタイ受難曲を演奏したことが、バッハ再認識の出発点といわれています。そこから、膨大なカンタータにも注目が集められたのですが、同時代にバッハよりも多くのカンタータを作った作曲家はいるのですが、バッハが優れていたのは、まさに「量より質」でした。
それはともかく、亡くなってからメンデルスゾーンの再発見までの80年間に、実は長男のヴィルヘルム・フリーデマンが相続した分が、一番消えてしまったのではないかという説があるようです。
ヴィルヘルムは才能はあったらしいのですが、バッハに可愛がられ過保護に育ったせいかあまりまともに職につかず、父親が亡くなった後は放浪生活でかなりお金に困ったらしい。
いずれにしても、遺された200曲だけでも、ちゃんと聴いていくなら相当大変な量。まぁ、バッハ研究家の方には、ある程度の謎が残っていないとやることがなくなっちゃうので、まぁよしとしましょう。