なんで、渋滞してんだろう~、なんて脳天気に軽くイライラしながら車を運転。しばらく進むと、赤色灯をつけたパトカー、救急車、消防車までけたたましいサイレンを響かせながら横をすり抜けていきます。
こうなると、もう事故が発生した以外ありません。しかも、発生したばっかり。渋滞については、もう気持ちの上ではあきらめのスイッチがONになって、どうなることか腹をくくるしかありません。
しばらくノロノロ走っていると、向こうのほうに赤い光がたくさん集まっているところが見えてきて、いよいよあそこが事故現場かと緊張が走ります。そして・・・
車一台の単独事故でしたが、乗用車が完全にひっくり返っています。居眠り?運転とかで、路肩の土手あたりに衝突したんでしょうか。車の前部が完全に潰れているので、運転手は・・・
元々、医者になって最初の15年間は、救急車との戦いが中心でした。今みたいに、大病院は、簡単なものは見ませんとか言う前の時代ですから、ちよっと打撲したとか、ちょっと切り傷で縫合しないといけないとかいう患者さんの間に、死にそうになっている患者さんも運ばれてくるわけです。
重症患者さんの検査をしている間に、一人でも二人でも軽症者をさばかないと、もうにっちもさっちも行かなくなります。もう、てんてこ舞いどころではありません。
こういう事故現場を見ると、その頃の記憶が蘇ります。サイレンの音は、本能的に注意を喚起するようにできているのでしょうが、自分の場合一般の方が感じる以上に、恐怖、疲労、あきらめなどのいろいろな感情が混ざっているのかもしれません。