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2016年1月3日日曜日

撮影モードを知る


たいていのことは意識しないでも、カメラが自動的に様々なことを調節してくれるので、素人の自分でも「それなり」の写真を撮ることができるものです。

ただし、それはあくまでも「それなり」であって、何枚も撮影した中の偶然の一枚でしかありません。
もちろん、シャッター・チャンスというのは、基本は偶然に訪れるわけですが、それを含めて必然の一枚にできるのがプロですよね。

所詮、カメラで飯を食っていこうと思っているわけではないので、目指すところはハイ・アマチュアですが、それでも、たまたまではなく意図した画像を残すことができれば楽しいことは間違いない。

そうなると、いくつかは意識しておきたいポイントが出てくるわけで、避けて通れない知識の整理が必要になってきます。

そこで、カメラを手にして、最初に構図について考えてみました。これは、個人のセンスの問題です。これだけは、カメラが自動ではやってくれない部分。

もちろん、後からトリミングして、構図を修正することはできますが、元の画像からすれば画質の劣化に関わることですから、できるだけ大元をちゃんとしておきたい。

その次は、カメラが自動でやっている部分を理解して、必要に応じてマニュアルで調整することができることが重要ですが、ここがなかなか難しい。しかし、ハイ・アマチュアを目指すからには、避けては通れないところです。

一眼レフカメラには(気の利いたコンパクトカメラにも)、撮影モードがあります。例えば自分の使っているNikonのカメラでは、P、A、S、Mという基本的な4つのモードがある。まずは、この4つのモードをしっかり理解しておくことから始めます。

P (program auto) プログラム・オート
撮影時の状況から、適正露出となるように、絞り値とシャッタースピードをカメラが自動的に決めます。いわゆる「バカチョン」状態。

A (aperture) 絞り優先オート
撮影者が選んだ絞り値に対して適正露出となるようなシャッタースピードをカメラが自動的に決めます。つまり、絞りを開くとシャッター速度は速くなり、絞りを閉じるとシャッター速度は遅くなります。絞りはレンズの性能によるものです。

S (shatter speed) シャッター速度優先オート
撮影者が選んだシャッタースピードに対して適正露出となるような絞り値をカメラが自動的に決めます。シャッター速度を早くすると絞りは開き、シャッター速度を遅くすると絞りは閉じます。シャッター速度はカメラの性能です。

M (manual)
絞り値もシャッタースピードも撮影者自身が選ぶわけで、ハイ・アマチュアの究極の目標はMモードを駆使して写真を撮ることです。

絞りかシャッター速度を自分で決めても、基本的に適正露出になるような組み合わせをカメラが決めるわけだから、撮影した画像には大きな差は無いように思うかもしれませんが、これが大きな違いになってきます。

露出というのは、あくまでもカメラに入ってくる光の量であって、カメラか決める適正露出は、今どきのデジタル信号ではヒストグラムで表される光量が多すぎず少なすぎずになっている状態。

ヒストグラムを確認すれば、明るすぎて露出オーバーになり白飛びしているのか、暗すぎて露出アンダーになり黒くつぶれているのかわかります。白や黒で塗りつぶされた画像は、後で修正しようにも色情報が無いのでどうにもできません。

入門書などでは「ヒストグラム」を理解しようということがたいてい書いてありますが、そうは言ってもいちいちヒストグラムを確認してからシャッターを切るというのは、現実的には無理なこと。ですから、絞りかシャッター速度の片方を自動にするのは悪いことではありません。

わざと動きをぶらしたりしたい場合を除いて、ほとんどの写真では被写体がくっきりと写っていることが大事ですから、通常アマチュアに推薦されるモードはAの絞り優先モードということになります。

絞りを自分で決めるということは、どういうことかというと、ここが重要なんですが、つまり被写界深度を決めるということ。

被写界深度 depth of field
簡単に言えば、ピントが合うカメラからの距離の範囲。被写界深度が浅い場合、ピントが合う範囲が狭いので、手前のものや奥のものはピントが合わずにボケてしまいます。被写界深度が深い場合は、手前から奥までピントが合う状態。特に無限遠までピントが合う場合パン・フォーカスと呼びます。

一眼レフの強みの一つに「美しいボケ」というのがありますが、このボケ味をうまく駆使するためには被写界深度を理解しておく必要があり、ボケを出したければ、少しでも明るい(f値が小さい)レンズを使用して絞りを開放に近づけることが必要です。

風景の写真などで、できるだけ視界のすべてをくっきりと写しだしたければ、被写界深度はできるだけ深くしたい。絞りは可能な限り閉じておく、つまりf値をできるだけ大きくしたくなる。

ですからAモードを使用していても、決定した絞りの違いは被写界深度に大きく影響し、適正露出ということは共通でも、撮れた写真の雰囲気はかなり変えることができるわけです。

いつどこで撮ったかわかりたいスナップ写真では、ピントは全体に合っていた方がいいわけですが、何か、あるいは誰かを中心に写したいポートレイトだと、周りの景色は邪魔になるので適切にボカしたくなるというものです。

何にしても、いきなりいろいろな設定項目をいじるのは難しいものです。自分が今挑戦しているのは、とりあえず絞りだけいじって、後は基本的にカメラまかせというところ。

この月の場合は、シャッター速度1/400秒、ISO1000で固定したまま、絞りだけを変えてみたもの。左はf14で露出はやや明るく、右はf20で暗めです。中央はf18で、ちょうどいい感じ。

ただし月の場合は定石があって、満月の場合はf8、1/800sec、ISO400という設定が有名。後は月の満ち欠けによって、あるいはまだ空が明るいかどうかで調整すればいいわけで、基本通りであれば、自分でもきれいに撮れる。


もちろん、絞りだけではどうにもならないものも早くも体験していますが、物事には順番というものがありますからね。少しずつ勉強していきたいと思います。