昨年評判になった、なおかつ高い評価を得た邦画の一つです。先日も、日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞し話題になりました。
監督は是枝裕和、主演は綾瀬はるか、広瀬すず、長澤まさみ、夏帆。
原作はコミックというわけで、マンガが原作の映画を批判するつもりはありませんが、小説あるいは映像作家のオリジナル作品の映画化がほとんどない昨今の邦画事情は寂しく思います。
自分のように、原作コミックを読んでいない者には関係ありませんが、マンガ原作ではすでに視覚的なイメージが出来上がっているので、そこに寄り添っていくにしても、できるだけ離れていくにしても、それなの束縛を受けることは否めません。
さて、この映画については、端的に感想を言うと、「静かに日常を積み重ねた」ドラマで、まさに日記を読んでいるような映画と言えるのかもしれません。特別にすごい事件が起こるわけではなく、わくわくするハッピーな出来事もありません。
誰にでも起こるような淡々とした日常を2時間の間観ていく中で、主人公の四姉妹の心の成長を見守っていく映画です。見終わって、どこかホッとする余韻を感じることができます。
もちろん、基本的なシチュエーションは、ドラマになる普通の一般人からすると複雑な家庭事情があります。是枝監督の演出は、過度に説明せず、登場人物のごく自然な演技の中から、それぞれの葛藤を描き出すことに焦点を当てているようです。
おそらく、脇役までかなり演技力の評価の高い主役級の俳優を揃えているのは、そういう意図をもってのこと。特に一番若い広瀬すずの演技力は、確かに只者ではありません。
観る側は、おそらく四姉妹の誰か一人に共感して、いつの間にか映画の世界に入っているのかもしれません。
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