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2020年9月16日水曜日

渡辺貞夫 / Mbali Africa (1974)

渡辺貞夫は、日本を代表する世界に知られたアルト・サックス奏者です。現在87才になりますが、まだまだ現役。

渡辺貞夫・・・ナベサダの音楽は、時代と共に大きく変化してきました。アメリカに渡り頭角を現した60年代前半は、チャーリー・パーカーの影を強く引きづっていました。その後、ボサノバから一転フリージャズに向かうな時期を挟んで、70年代前半はアフリカ志向が前面に出たジャズ・ロックの時代を迎えます。

70年代半ばになると、折からのクロスオーバー・ブームにうまく乗り、一般にも知られたヒット作を連発しますが、90年代以降は再び古典的なジャズ・フォーマットに戻り円熟の味わいを聞かせてくれました。

リアルタイムでナベサダを聴いたのは、アフリカ時代だったこともあるんですが、やはりこの頃のサウンドは、他のどのミュージシャンの音楽からも聴くことができないオンリー・ワンの物です。

ナベサダが初めてアフリカに渡ったのは1972年で、ケニアで出会った複合的なリズムの取り方に感化され、自分の音楽の中に取り入れました。その集大成的なリサイタルとなったのが、1974年のこのライブ。

会場は、当時ジャズのコンサートでは定番だった郵便貯金ホール。集まったメンバーが凄い。レギュラー・グループだった、ピアノの本田竹廣、ベースの鈴木勲、ドラムの日野元彦らに加えて、パーカッションに富樫雅彦、トランペットに日野皓正、テナーに宮田英夫、ギターに渡辺香津美、エレキ・ベースに岡沢章という具合で、もうほとんどオールスター集結状態です。

そして曲のタイトルはほとんどがスワヒリ語か、アフリカを連想させる英語がならんだLPレコード2枚組で、2つ折りのジャケットを開くとアフリカに溶け込んだナベサダのスナップ写真が並ぶという物でした。

内容は4ビートでスイングする曲は当然ありませんが、おそらくこれがアフリカなのかなと思わせるさまざまな音が溢れていて、これもジャズなんだと感じさせる「Something New」がたくさん詰まっていました。

あらためて聴いても、ナベサダの意図をくみとった各人のパフォーマンスも最高ですし、何よりもナベサダの本当に生き生きした演奏が詰まっているなと感じました。