マイルス・デイビスが好きだと、トランペットについては他の人はいなくても困らない感じで、あまり興味が湧かないという弊害があったりします。
とは言え、サックスよりは少ないかもしれませんが、ジャズ・トランペッターもたくさんいて、マイルス的ではない別の魅力があったりするものです。
ブルー・ミッチェルは、マイルスよりちょっと若くて、表舞台に登場したのは50年代末。すでに、ハード・パップが定着した時期で、ミッチェルもある意味典型的なハード・バッパー。
クリフォード・ブラウンほどの超絶テクニックではなく、マイルスほど陰影濃くない、比較的素直な明るめの音色が特徴なのかもしれません。
このアルバム「ブルース・ムード」は、ジャケットも青を強調していますが、あくまでも「ブルー」のムードであって、呼び名はブルー(本名はリチャード)ですが、ブルースではありません。
でも、当時のジャスのアルバムとしては、精錬されたデザインで好感が持てます。横からのミッチェルの姿もシャツアウトで、ラフなカジュアル感が漂います。
ここでピアノを弾くのは名バイプレイヤーのウィントン・ケリー。ここでも、全体の雰囲気を壊すことなく、サポートとソロでなかなかの活躍を聴かせてくれます。
全編でミッチェルのオープンな音がリラックスして親しみやすく響いてくる、トランペットのワン・ホーン・クアルテットのアルバムとしては、一押しの名盤になっています。