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2020年9月27日日曜日

Wynton Kelly / Wynton Kelly ! (1961)

ウィントン・ケリーというピアニストは、正直に言って自分の中では評価はあまり高くない。何でかって、器用にそつなくこなすセッション要員というイメージで、悪くは無いけどどうしてもケリーじゃないとダメというイメージが湧いてこない。

例えば、世紀の名盤「Kinf of Blue」では、ピアノはビル・エバンスと半々なんですが、ほぼエバンスしか思い出さないし、ウェス・モンゴメリーとの双頭リーダーなのにハーフノートのライブはモンゴメリーのアルバムとして認知されています。

もちろん、ハード・パップ期の多くの作品に登場し、気持ちの良いソロをたくさん聴かせてくれて、ジャズの人気を支える働きをしました。この当時としては、無くてはならない存在だったことは間違いはありません。

かつてマイルスはケリーについて「レッド・ガーランドのファンキーさとビル・エバンスの抒情性を兼ね備えたピアニスト」と語っていますが、確かにじわじわと浸みてくるような演奏は多くのミュージシャンにも影響したと思いますが、なにしろ1971年に39歳で亡くなったので、リーダー作は多くはありません。

「Kelly Blue (1959)」はリーダー作として最も有名ですが、すべてピアノ・トリオなら良かったんですが、2曲にホーンが入ったセクステットの演奏がアルバムの雰囲気を変えています。特に、開口一番、タイトル曲のしょっぱなのフルートが残念。サイドとしてはマイルスのブラックホークでの一連のライブ(1961)は、最高にスイングするケリーの真骨頂。

そこで、どれか一枚ということなら、ブラックホークの数カ月前、当時のマイルス・グループの面子とレコーディングしたトリオ・アルバム、しかも自らの名前だけを冠したアルバムを一押しにしたい。

当時のマイルスのレパートリーとかなり被る曲が並ぶ関係か、あまり一般の評価が高いとは言いにくいのですが、御大抜きでもこれだけ聴かせるという雰囲気は伝わってきますし、なによりも全編にわたってケリーの気持ちの良いピアノが続くところが素晴らしいと思います。