デューク・ジョーダンは、もともと、チャーリー・パーカーとの共演も多い、パップ期から活躍したピアニスト。
若い頃は、鍵盤を強く叩くような弾き方はほとんどせずに、左手のオン・ビートが特徴。後年はオフ・ビートのスイング感が増しましたが、比較的大きな音はあまり出さず抒情的な演奏スタイルで、聴いていて心地よい気分になります。
初期の頃はリーダー作は多くなく、「Trio & Quintet」、「Flight to Jordan」などが有名ですが、70年代から活躍の場をヨーロッパに移し、トリオを中心に孤高の世界を描き出しました。
特に、この「Flight to Denmark」は、雪景色の小径にポツンと立つジョーダンをとらえた白黒のジャケットが印象的です。
スタートはポコポコとしたドラムのリズム設定から、映画「危険な関係」のテーマが始まりますが、サントラ盤のアート・ブレイキーのファンキーな演奏と違って、より大人の恋愛を見事に描いている名演で、ドラムは、名手エド・シグペン。その後よく知られたスタンダードを抑制された中でも、軽快にスイングして楽しませてくれます。
レコードでは収録されていませんでしたが、現行CDでは最後は自身のヒット曲「Jordu」で締めていて、オリジナル改変としては珍しく歓迎できるところ。以前の録音ではラスがメロディを奏でましたが、自らのピアノで弾くテーマはこの曲の完成版という感じ。
この時の演奏は「Two Lovers」というアルバムにも分散収録されており、是非合わせて聴いた貰いたいところです。