2022年5月31日火曜日

イタリア・ワインの話 番外編 アクセサリー


イタリアに限らず、ワイン全般に言えることなんですが、ワインを楽しむのに必須ともいえるアクセサリーが少なからずあります。

グラスはいろいろで、ワインに合ったものがベストなのはわかっていますが(中にはブドウの品種別の専用グラスもあったりします)、初心者的には赤用と白用の最低2種類あれば十分かと思いますし、もちろん楽しむスタンスによってはコップもあり。ただし、ワインを楽しむならば、グラスにも気を遣うのが初心者脱出の必須項目になりそうです。

次に、たいていのワインはコルクの栓が使われていますから、ワイン・オープナーと呼ばれる栓抜きが必要。もっとも、これも最近はコルクを使わないスクリュー・キャップ式もありますけど・・・

一番単純な栓抜きはコルク・スクリュー。くるくると差し込んで力任せに引き抜くというもので、よくワインのおまけについてくる。けっこう力が必要ですし、コルクを崩してしまうと後が大変ですスクリューをネジ入れると両側が跳ね上がって、これをぐいっと閉じるのがウィング式。女性でも開けやすく、使いやすい。

でも、慣れればやはりソムリエ・ナイフを使って開栓するのがかっこいい。シールを切るための小さなナイフがついていて、折りたたまれたスクリューをねじ込んで、瓶のヘリをてこにして楽に開けることができます。高いのは数万円しますが、とりあえず1000円前後でも十分に質感もグッドなものが売られています。

自分は赤ワインは苦手で白かロゼ、あるいはスパークリングばかりを飲んでいます。なんで赤が苦手なのかというと、おそらく渋みのせいだと思うんですが、ワイン通の方からすればそれもワインの醍醐味というところ。

特に普段口にするのは、ビンテージ物とかではなく若いワインで、しかも高くても2000円くらいの「安物」ばかりですから、なおさらまだまだ「開いていない」もの。香りもそれほどしなくて、口の中にタンニンのざらつき感ばかりが残ってしまいます。

そこで、ワイン好きの人が知っているキーワードがデキャンタージュ(フランス語のdécantage、英語ではdecantation)です。空気にしっかり触れさせるために、デカンタと呼ばれる別容器に、開栓したワインを注ぎ移す作業。瓶内の沈殿物を取り除くという目的もあります。

一般に白ワインやスパークリングでは行わず、赤ワインの独特の渋みを軽減し、本来の香りを開かせる効果があると言われています。ただし、一般家庭ではなかなかデカンタを用意しておくというのはハードルが高い。

そこで、同じデキャンタージュの効果を得られる道具として普及しているのが、エアレーターと呼ばれる、瓶の口に取り付ける注ぎ口(ポアラー)の特殊なタイプ。ワインを注ぐときに空気穴から空気を引き込んで(エアレーション)デカンタージュ効果を手軽に出せるというもの。

絶対に無いとダメとは言いませんが、安いワインの場合は往々にして格段と飲みやすく美味しくなります。実際、使ってみると感動するほど味が変貌する場合があります。高い物は1万円近くしますが、1000円前後の物が主流で十分な効果があります。ちょっとでもワインを楽しむなら、いっぱしのワイン通ではなくても、これくらいのアクセサリーは用意して損はありません。

2022年5月30日月曜日

いかすみスパゲッティ


まだまだあったイタリアの本家定番パスタは、皆が知っているイカの墨です。そもそもイカ墨って・・・イカが敵から逃げる際に放出する粘調な真っ黒な色素。その成分は、アミノ酸を含むメラニンです。人も髪の毛の黒とか、ホクロの黒とかはメラニンです。ただし、イカ墨には糖分も多く、カロリーもけっこうあるらしい。

イカスミは、地中海料理では普通の食材の一つで、スペインのパエリアにも使いますし、特にヴェネツィアでは定番中の定番とのこと。いかすみスパゲッティはイタリア語で Spagetti Nero di Sepia ですが、Neroは黒色という意味で、Sepiaは墨袋の大きいコウイカの学名で、この墨を絵具に使った時の色がセピアです。

さて、日高シェフの指導に従って作っていきましょう。今回使用したイカは、安くて庶民の味方、ヤリイカです。ヤリイカは墨袋が小さくて、生の物から取った墨では物足りない。そこで、市販のイカスミ・ペーストを使いました。

スパゲッティは1%の塩で茹で始めます。フライパンは、いつものオリーブ・オイルにニンニクみじん切りからスタートです。ゆっくり加熱してニンニクの香りを立たせたら、スライスしたタマネギを入れて炒めます。

ヤリイカは食べやすいサイズに切って入れ、ざっと火が通ったらイカ墨ペーストを入れます。白ワインを50ml加えて、イカ墨を全体に回し、アルコールを飛ばすように数分間煮詰めます。ここで、味見して少しだけ塩をいれておきます。

ほぼ茹で時間通りか、ちょっと早目くらいでパスタを取り出し、フライパンに入れてソースを馴染ませたらOK。皿に盛って、イタリアンパセリをアクセントに振れば完成です。

食べた後に口の中が真っ黒になっちゃうことを気にしなければ、ニンニクとワインで臭みを取って、イカ墨のアミノ酸が旨味になって、大変美味しい仕上がりです。作るときもイカ墨が飛び散らないように注意は必要ですし、道具はさっさと洗って片付けましょう。

2022年5月29日日曜日

海苔のクリーム・スパゲッティ


ゼッポリーニという揚げパンみたいな料理では、海苔を混ぜたりします。海苔はイタリア語で「alga marina」ですが、どうも海藻なら、どれも呼び方は同じみたいな雰囲気があります。ですからイタリアでも海苔はnori、わかめはwakame、昆布はkonbuで通用するらしい。

このイタリアでマイナーな食材(日本では国民的ですが)を、スパゲッティに仕立ててみようというのを日高シェフが紹介しています

スパゲッティを1%の塩を入れたお湯でゆで始めます。8分茹でなら6分で取り出す感じなので、5分くらい経過したころに、フライパンにお湯を沸かして、よくある乾燥の海苔をいれます。

一人前だと1帖でお湯は100mlくらい。混ぜるとすぐバラバラに溶けます。そしたら生クリームを50ml、塩適量を入れて、スパゲッティの茹で上がりを待ちます。長く煮ていると海苔の風味が減るので注意。

早めに上げたスパゲッティを、フライパンに入れてあと1分半くらいスープを吸わせていきます。火を止めたらパルミジャーノレッジャーノを好きなだけ振り入れてよく和えたら完成。日高シェフは、最後に柚子胡椒を少しだけ入れて仕上げていました。今回は、柚子胡椒が無かったので、代わりにわさびを少々入れてます。

気が付いたら、いつものオリーブ・オイルもニンニクも使ってない。でも、海苔の香りが立って、実に美味しくいただけました。

具材が寂しいと思う方は、色々な野菜などをスパゲッティと一緒に茹でて混ぜるのもありというアドバイスもありました。また、乾燥海苔の方が扱いが楽で、かつ香りが凝縮しているので、生海苔よりお勧めだそうです。

2022年5月28日土曜日

鰯と大葉のスパゲッティ わさび風味


一応、ペペロンチーノを和風に作るというのがテーマ。

ペペロンチーノ(唐辛子)の代わりがわさびで、イタリアンパセリの代わりが大葉です。さすがにそれだけじゃ淋しいので、これに合わす具材として選んだのは、鰯としめじです。題して Spaghetti alla sardina e perilla al wasabi です。

例によって例の如く、お湯を沸かす、1%の塩を入れる、スパゲッティを茹で始めるというところから開始。今回は1.7mmのスパゲッティーニで、指定された茹で時間は8分です。

横でフライパンにオリーブ・オイルで、ニンニクみじん切りを入れたらゆっくり加熱して香りを引き出します。ここで生の鰯(スーパーで売っているすでに開きにしてある物)1尾分を短冊状に切って炒めます。あまりかき回すと鰯はボロボに崩れるので注意。ある程度鰯に火が通ったらしめじを投入して、パスタが茹で上がるのを待ちます。

茹で時間7分くらいで、しっかり芯が残っているくらいで少量の茹で汁と共にフライパンに移します。ここでパスタを茹で上げていくわけですが、そろそろかなくらいで味を見て足りなければ塩を追加。

そして、最後の最後にわさびと千切りにした大葉(5枚分くらい)を入れ、さっと和えたら完成。わさびはチューブに入っているのを使いましたが、多いかなと思いましたが5cmくらいの長さで2回出しました。

これ・・・はっきり言って、めちゃめちゃ旨い。わさびはまったくツーンとせずに、風味だけが絶妙に溶け込んでいる感じ。わさびと大葉でさわやかな感じがして、ニンニクで鰯の臭みを取り除ている感じで、油っぽいところもありません。これは是非一度はトライすることをお勧めしたくなるレシピです。

2022年5月27日金曜日

バッカラマンテカートのクロスティーニ


ヴェネツィア名物のクロスティーニと言えばこれ。バッカラマンテカート(Crostini di baccalà mantecato)です。

バッカラ(baccalà)は「干し鱈(切り身を塩漬けにしたもの)」、マンテカート(mantecato)は「クリーム状」という意味。シェフたちがよく混ぜることを「マンテカーレする」という表現をしたりします。イタリアでは保存食として伝統的には干し鱈が普及していますが、水で塩気を抜いて戻してから使わないといけない。日本では生の鱈(merluzzo)が手に入りやすく、下準備もいりません。

材料は、生鱈の切り身を二切に対して、中くらいのじゃがいも1個、生クリーム50ml、ニンニク一片、そして塩胡椒です。

フライパンにオリーブオイルとニンニクを入れ、ニンニクの香りを出したら鱈を焦がさないようにゆっくり焼いていきます。火が入ると骨がある場合ははずしやすくなりますので、丁寧に取り除きます。

じゃがいもは茹でておくか、水と一緒にビニール袋に入れてチンして、先にある程度崩しておきます。フライパンにじゃがいもを入れ、鱈と一緒に潰すようにして全体を馴染ませます。塩胡椒で味を整えたら、生クリームを入れてひと煮立したら出来上がりです。生クリームの代わりに、じゃがいもと一緒に牛乳を入れて煮込む感じでも構いません。

スライスしたバゲットに塗るように乗せて、イタリアンパセリを上から散らせば完成。じゃがいもと生クリームでポタージュのような味わいで、ワインのお供にばっちりの前菜になります。

クロスティーニは、焼いたパンを使うという説明もあります。同じようなパンの上に具材を乗せて食べる料理にブルスケッタ(Bruschetta)があるんですが、両者の違いは明確ではなく、むしろブルスケッタが焼いたパンにを使うとか、より大きいパンを使うとか、いろいろな説明がされていて、イタリアらしく地方によっていろいろということなんですかね。

2022年5月26日木曜日

鶏レバーのクロスティーニ


クロスティーニ(crostini)は、「美味しい」という意味を持つ言葉で、スライスしたバゲットの上に調理したものをトッピングして食べるもので、前菜(antipast)の一つ。

イタリアの各地方や各家庭で、定番は様々のようですが、鶏のレバーをペーストにしたものを乗せたものは最もよく知られています(Crostini con fegatini di pollo)。特にトスカーナ地方、フィレンツェでは名物料理として名高いようです。

スーパーで手に入る鶏レバーはだいたい300gくらいのパックで、買ってきたらよく水洗いして余分な脂肪などはできるだけ取り除ぎ粗みじんにしておきます。これに対して、みじん切りのタマネギ1/2個、ケーパー大さじ2杯程度、アンチョビ4切れ、イタリアンパセリ適量、作りだめしておいたソフリットをおおさじ1杯、白ワイン100mlを用意します。

本来はニンニクは使わないのですが、レバーの臭みを少しでも和らげるためニンニク1片をみじん切りにして、オリーブ・オイルを入れたフライパンに入れます。香りが立ったら、タマネギ、そして鶏レバーを炒めます。だいたい火が通ったら、ソフリットと白ワインを入れ水分が半分以下になるくらいまで煮詰めます。

ここで、ハンド・ブレンダーでフライパンの中身をペースト状にしますが、ブレンダーが無い場合は、タマネギや鶏レバーをかなり細かいみじん切りにしておけばOKです。ペーストになったら、アンチョビ、ケーパー、イタリアンパセリを入れてよく混ぜ合わせ、バゲットに塗るように乗せれば完成です。

ソフリットが無いときは、最初からセロリ、ニンジンも一緒に炒めるのがおすすめで、それらも無い場合は市販のブイヨンを利用してもかまいませんが、その場合は塩味が強くなるかもしれないので注意が必要。このレシピの塩味は、ほぼアンチョビだけですから、減らすと風味はかなり落ちるかもしれませんか。

本場のレシピの一つには、アンチョビは使わず、塩胡椒と卵黄とレモンを混ぜたソースを加えるやり方もあります。また、ブレンダーでペーストにする前からイタリアンパセリを入れたり、オリーブ・オイルではなくバターを使うなどの方法もあります。

レバー臭さはほぼ無く、レバーが苦手な人でもまったく違和感なく食べることができると思います。まずは小腹をちょっと満たすのに、実にちょうど良い味で、スパークリングワインと一緒にどうぞ。

2022年5月25日水曜日

ドルチェの話


ドルチェ(dolce)は「甘い」という意味で、ワインに使う場合は甘口を指します。イタリアのコース料理では、メイン・ディッシュ(secondo piatto)の後に登場するデザートがあり、これらを単にドルチェと呼んでいます。

どうも自分がデザート的な物にはあまり興味が無いので、こればっかりは頑張っていろいろ作ってみようと思わない・・・のですが、まぁ、いろいろ見ていくとこれなら簡単に作れそうだと思ったのでトライしてみました。

・・・というのが、パンナコッタ(Panna cotta)。それは何のこった? というダジャレがあったように思いますが、「調理したクリーム」という意味。日高シェフもドルチェの王道として紹介してます

日高シェフは全部生クリームで作っていましたが、さすがに全部はしんどいので半分牛乳で作りました。バニラ・ビーンズは無いので、バニラ・エッセンスで代用。レモンの皮で香りを付けますが、これもレモン果汁を使いました。

生クリーム200mlと牛乳200mlを沸騰させないように火にかけます。バニラ・エッセンスをちょちょいと入れ、レモン果汁大さじ1杯くらい。そしてグラニュー糖を72gなんですが、実はその通り作ったらかなり甘い。50gくらいで十分かなと思いました。

温まったらゼラチン・パウダーを4.4g・・・なんですが、これもそのままだと本当にゼリーになってしまうので、3gくらいがとろんとした感じで丁度良いと思いました。容器に入れて冷蔵庫で数時間冷やすと出来上がりです。今回は苺をグラニュー糖で煮たソースをかけてあります。ミントの葉を飾れば完璧。

ドルチェとしては、たぶん最も有名なのがティラミス(Tiramisu)でしょう。かつて、空前のティラミス・ブームというのがありましたが、実はあんまり食べたことが無い。日高シェフのティラミスの紹介を見ると、材料も多いし手間もかかるしすぐにはできないのでとても作る気になりませんでした。ごめんなさい。

ジェラート(gelato)という言葉も良く知られていますが、「凍った」という意味で、まさにアイスクリームのこと。他にも手の込んだものがいろいろあるようですが、一方で単純なフルーツだけというのも珍しくない。自分で用意するならこれが簡単でお勧めです。

2022年5月24日火曜日

ナポリタン


イタリア人からすれば、究極のなんのこっちゃイタリアンが「ナポリタン」ではないでしょうか。

日本では、昭和の時代から最もよく知られた洋食として認知され、自分もこどものときから今に至るまで大好きなスパゲッティのメニューの一つです。スパゲッティと言えばイタリアの食材ですから、当然ナポリタンは何の疑問も無くイタリア料理と思っていました。ところが、実はこれは日本独自のものであり、イタリアにはこのようなパスタの食べ方はありません。

しかし、歴史的にも人気があるので、いろいろなイタリア料理の日本人シェフ達も無視するわけにはいかず、それぞれがこうすればもっと美味しくなる「究極のナポリタンのレシピ」を公開していたりします。

ただ、やはり自分としてはこどもの時に、デパートの最上階の洋食レストランなどで食べた、ごくごく普通のケチャップまみれのナポリタンが食べたくなる。YouTubeのファビオ飯で紹介されているものは、こだわりの作り方ながら納得のシンプルなもので、美味しいケチャップが手に入ったので(・・・ってか、実はこれもファビオ飯を参考に手作り)、早速真似してみました。

スパゲッティは太目のものが適しています。今回は2.0mmです。茹で時間は9分となっていますが、珍しくボイル・オーバー、つまり1分ほど茹で過ぎにします。時間になったら、ザルにあげて冷ます。ここからして、もうイタリア料理のパスタの基本から大きく外れたありえない扱い方です。

これは、ひとえにパスタの麺にもちもちした感触を出すためで、洋食屋さんでは冷蔵庫で一晩寝かせて翌日に調理するくらいのことをしたりします。

具材は王道のスライスしたタマネギ、ソーセージ、マッシュルーム、ピーマン。オリーブ・オイルでソーセージから炒め、次にタマネギ、そしてマッシュルームという具合に順番に入れ、最後のピーマンに軽く火が通ったら、ケチャップをたっぷりと合わせて冷めたパスタを投入します。

市販のケチャップの場合は、少し煮詰めて酸を飛ばしてからパスタを入れますが、自家製ケチャップで酸はきつくなく濃厚なのでその工程は飛ばします。スパゲッティにケチャップが絡んだら、混ぜずにそのまま強火で1~2分放置。これは麺を焼くという工程で、ナポリタンの独特の美味しさの秘訣ですが、これもイタリア人からすればありえない調理法です。

つまり、ナポリタンは麺はスパゲッティで、ソースがケチャップの「焼きそば」ということ。デュラム小麦の硬質のアルデンテが知られる以前は、日本のスパゲッティの麺は柔らかいもっちりとした食感が普通だったんですよね。最後にバターを少々入れ、溶けて全体に混ぜたら出来上がりです。

実はドリアを創作したのと同じ頃に、横浜ホテルニューグランドで「スパゲチ ナポリテーイン」として始まったらしい。戦後に進駐軍と共にケチャップ文化が入って来たことで、急速に洋食レストランや一般家庭に広まったと考えられています。

確かに、本家のパスタとは一味も二味も違うかもしれませんが、これはこれでめちゃくちゃ美味しいことには変わりありません。タバスコとかをちょっとかけて食べるのがスタンダードです。

2022年5月23日月曜日

ケチャップ


イタリア人からすれば、なんのこっちゃイタリアンの調味料が「ケチャップ」です。

ケチャップ ketchup は、もともと東アジア由来の魚醤(例:ナンプラー)とかの呼び名だったようですが、それがヨーロッパに渡りトマト・ベースのものが作られ、さらにアメリカでは世界のケチャップの半分を消費するまでになったらしい。

トマト・ソースのバリエーションなので、イタリア料理関連で使うイメージがありますが、似たような味になるソースを使うことはあっても、イタリア料理でケチャップをそのまんまに使うというのは極めて珍しいのだろうと想像します。

日本ではいわゆる洋食レストランの定番で多用され、オムレツにはほぼ必ずかけてあるし、チキン・ライスの味の決め手もケチャップです。もちろん、一番知られているのはナポリタン・スパゲッティですよね。

さて、何かの料理をしていて最後の味付けにケチャップを使おうと冷蔵庫を開けたら・・・ありゃりゃりゃ、ケチャップが無いじゃん、という経験は誰しもあるもの。そんな時、材料さえあれば自家製で簡単に作れます。

必要な物、何と言ってもトマト缶。普通は1個に400gで、できれば裏ごししてあるものが便利。タマネギ、普通サイズの物1個。ローリエの葉、2~3枚。シナモン・スティック、1本で、無ければシナモン・パウダーで可。ナツメグ、クローブ少々。ワイン・ビネガー、50mlくらい。そして、塩、胡椒、砂糖です。お好みでニンニク。生トマトを使う場合は、できるだけ完熟したものを用意し、水分が多いのでしっかり煮詰めましょう。

鍋にオリーブ・オイルを入れて、薄めにスライスしたタマネギに軽く塩を振って弱火で炒めます。続けてスパイス類と砂糖を入れて、全体になじませたら、ワイン・ビネガーを入れ強火にして酸を飛ばします。シナモン・パウダーの場合は、けっこうたくさん入れても大丈夫です。

次にトマト缶の中身を鍋に入れ、30分程度弱火で煮込みます。ここで味を見て、塩・砂糖を追加して味を微調整。そして、ローリエ、シナモン・スティックは取り出します(大事!!)。ブレンダーがある場合は、鍋の中で玉ねぎを完全に粉砕してしまいます。無い場合は、ざるなどを使って潰しながら裏ごしします。生トマトから作っているなら、種と皮を取りの除くために、必ず裏ごしをします。

お~、普通にケチャップの味だ、と感激します。しかも、塩味・酸味は自分の好みに仕上げることができるので、いろいろな料理への応用が効きやすい。保存は市販品のように長期間というのは難しいので(冷蔵庫でせいぜい1週間)、冷めたらジップロックのような袋に入れて冷凍がお勧め。必要な時に必要な分量を割って溶かして使いましょう。

2022年5月22日日曜日

ポーク・ピカタ


イタリア人からすれば、なんのこっちゃイタリアンの一つが「ポーク・ピカタ」です。

日本の洋食屋の定番の一つですが、これはイタリア語ではピッカータと呼ばれている料理の日本独自バージョン。オリジナルのピカタは、小麦粉をまぶした仔牛のエスカロップ(薄切りを叩いてさらに延ばしたもの)をバター焼きにしてレモン・ソースで食べるというもの(Piccata al limone)。

どこでどうなったのか、日本では仔牛が豚になり、アメリカではチキンになって、しかも卵を使った衣がつく料理に変貌しました。

簡単に言うとパン粉の衣が無く、揚げずに焼いたカツという感じ。当然、その分調理は楽になって、食べてもカロリーは少なめなのが嬉しいというところ。

普通は薄めのロース肉とかがよく使われるように思いますが、今回は挽肉を使いました(ちょっと別の料理用に挽肉買い過ぎてたので・・・)。

ハンバーグよりは薄くしたいので、塩・胡椒を振ってよく練って平たく延ばしたら、後は手の上で作業。表面に薄力粉を振ってなじませ、といた卵をぺちゃぺちゃと塗ります。

後はフライパンで焼くだけ。強火にすると、卵の皮が焦げてしまうので、ゆっくりと弱火~中火で焼き上げていく感じです。

まぁ、普通に夕飯のおかず風でOKですが、和製洋食ということを考えるとケチャップなんかをかけてもいい感じです・・・が、今回は冷蔵庫にケチャップを切らしていたのでパス。

2022年5月21日土曜日

海老ドリア


イタリア人からすれば、なんのこっちゃイタリアンの一つが「海老ドリア」です。

実は、海老ドリアは日本の純国産の洋食屋定番メニュー。ドリア(doria)は、ピラフ(バター・ライス)の上に、ホワイト・ソース(ベシャメル・ソース)を乗せてオーブンで焼いたもの。戦前に横浜ホテル・ニュー・グランドが発祥とされているというのは有名な話で、別名をライス・グラタンといいます。

イタリア人が主食たるパスタの一つマカロニで作るなら、日本では主食の米で作るというのは、自然な成り行きなのかなと思います。ネットで探すと、少なくとも現在はイタリアにもライス・グラタンがあるみたいですが、日本のドリアのようにソースと米が分離していません。

海老ドリアを、あえてイタリア語にすると「Riso gratinati con gamberi (海老入り米のグラタン)」というところでしょうか。

作り方は簡単。まず、バター・ライス作り。フライパンに適量のバターを焦がさないように溶かし、みじん切りタマネギを入れて炒め、続いて食べたいだけご飯を混ぜて、塩と胡椒で味付けします。ここに、ピーマンでもニンジンでも、あるいはマッシュルームとか、ベーコンなど好きなものを入れてもOK。できたら耐熱容器を移しておきます。

ホワイトソース作りは、溶かしたバターで小麦粉をゆっくり炒め、牛乳を入れてよく混ぜるというのが基本の作り方。バターと薄力粉と牛乳の割合は1:1:10です。無塩バターの場合は、追加で塩を少々入れます。

フライパンでムキエビ(冷凍もの可)とみじん切りタマネギをバターで炒め、ホワイト・ソースを加えてひと煮立したら火を止め、パルミジャーノレッジャーノ・チーズを適量振り入れよく混ぜる。これをバター・ライスの上にかけて、さらに上からパルミジャーノレッジャーノ・チーズを好きなだけ振りかけます。

オーブンで200゚cで10分程度焼いて、表面に焦げ目がついたら完成です。オーブンが面倒ならトースターでもOKですし、バーナーで表面だけ炙って焦がすというのも時短法としてはあり。

まぁ、ちょっと懐かしいような感じもして、普通に美味しい。残り物のご飯があって、バターライスにするのさえ面倒くさい時は、ホワイトソースで全体を和えてしまうという究極の方法もあったりします。

2022年5月20日金曜日

アスパラガスとトマトのスープ・スパゲッティ


イタリア人からすれば、なんのこっちゃイタリアンの一つが「スープ・スパゲッティ」です。

本場イタリアにも、スープの中にパスタを入れるというレシピはあることはあるのですが、それはほぼショート・パスタであって、スパゲッティのようなロング・パスタはソースを絡めてフォークで食べる物というのが常識。

どこでどうなったのか、そのいわれはよくわかりませんが、何故か日本では、スープの中にスパゲッティが浮いているというメニューがけっこう普通に存在します。

これって、日本人に馴染み深いラーメンのことを考えれば、いかにもありそうな違和感のない料理かもしれません。うどんとラーメンとパスタは、多少の違いはあってもほぼ小麦を練った麺というところでは一緒です。

けっこう昔からあって、自分もよく利用したアサリ・コンソメのレトルトは結構美味しい。ただ、少しだけ不満なのは、比較的サラっとしたスープなので麺にからまないというところ。つまり、スパゲッティとスープが分離した状態で食べている感じです。

さて、一度スープ・スパゲッティを作ってみようかと思い立って、どんな味にするか考えてみた結果はこれ。ラーメンみたいにスープたっぷりすぎてもどうかと思い、少な目のスープで、ある程度濃厚さがあってパスタにもからみやすいものにしてみました。

題して「Zuppa di asparagi e pomodoro con spaghetti (スパゲッティ入りのアスパラガスとトマトのスープ)」という感じでしょうか。

フライパンにオリーブ・オイルにニンニクみじん切り、香りがったったらスライスしたタマネギとマッシュルーム、そしてアスパラガスを入れて炒めます。塩胡椒でだいたいの味を決めたら、ここでトマト・ソース入れてもいいんですが、フレッシュ感が好きなので生トマトみじん切りを入れてしばらく煮ます。

ここでスープのベースになる大事な「調味料」がソフリット。タマネギ・ニンジン・セロリの香味野菜三兄弟のみじん切りを、ペースト状になるまで炒めて冷凍しておいたもの。好きなだけ入れればいいんですが、今回は一人前で大さじ1程度の目安で使いました。

スパゲッティはある程度ほぐれたら、すぐにフライパンに移し、かなり多めの茹で汁も加えて、スープの中で茹で上げていく感じ。スープと麺が分離した感じにならないように、しっかりとパスタにスープを吸わせるのが目的。今回は8分茹での1.7mmに対して、5分くらいで移しています。

お皿というよりは、深めのボールに移してフォークとスプーンでいただきます。旨味の出る野菜ばかりを使用しているので、下手なコンソメの素とか入れるより、超絶に美味しい出汁が出ています。麺をしっかり煮たことと、煮崩れたトマトのトロミ感もあって、スパゲッティにスープがしっかりとまとわりつく感じに出来上がりました。

ただし、わざわざスープ化するメリットは「??」というところで、ダメとまでは言いませんが、積極的に普及するとも思えないというのが正直な感想でしょうか。

2022年5月19日木曜日

甘味の話


パティシエの方など、デザート(イタリア料理ではドルチェ)を作る人には、甘味は重要な味覚です。ただ、一般のイタリア料理では自然の素材の中の甘味は重視されますが、わざわざ甘味料を使うことはめったに無い。

甘味を出すのは、ほとんどの場合タマネギとトマトじゃないでしょうか。タマネギは野菜としては、意外に炭水化物を多く含みます。100gあたりに8.8gが炭水化物です。それらはブドウ糖、果糖、ショ糖などで。いわゆる糖度で表すと9~10度くらいあります。

タマネギを炒めるなどして加熱すると甘くなることは知られていますが、これは加熱によって辛み成分である硫黄化合物が揮発・分解して減り、もとからの糖分が凝縮するために甘さが目立つようになるのです。ですから、正しくは「甘くなる」ではなくて「辛くなくなる」ということ。

トマトに含まれる炭水化物は、100gあたり3.89gで、糖度は5度程度。ただし、フルーツトマトと呼ばれる、甘味を強く栽培したものは8度以上で、中には12度くらいのものもあります。

ちなみに、糖度は大雑把な理解としては100ccの水に砂糖1gを溶かした甘さが1度となり、リンゴは12~17度、バナナは20度程度です。ほとんどの野菜は3度程度ですが、トウモロコシは15度、なんとニンニクは40度近くあります。

一般的に使われる白い砂糖は上白糖ですが、料理がしっとりとした仕上がりになりやすく焼き色が付きやすいのが特徴。欧米では、サラサラとした顆粒状のグラニュー糖がよく使用され、菓子作りにも好まれます。

その他の自然成分を売り物にしているキビ砂糖、てんさい糖、黒糖などがありますが、様々なミネラル分が多くなり、多少やさしい甘さになります。ただし精製度が低いだけで、砂糖として健康上の影響は上白糖と大差ありません。

食事と共に楽しむワインも、もともとの原料はブドウですから、当然糖分は含まれています。ブドウの糖度はおおよそ20度。糖度が少ないと分解して発生するアルコールが減り汚染リスクが高くなり、糖度が高すぎてもアルコールが増えすぎて風味が損なわれます。

イタリア・ワインで、最も甘口とされるDolce(ドルチェ)では残存糖分は50g/L以上とされていて、辛口とされるSecco(セッコ)でも17~32g/Lです。12g/L以下になったものがBrut(ブルット)と呼ばれます。辛口と言っても、それなりの糖分が含まれているので、何にしても飲みすぎには注意が必要ということですね。

2022年5月18日水曜日

ソフリット


ソフリットsoffritto そのものは料理というよりは、イタリア料理で多用される調味料みたいなもの。基本的には、香味野菜と呼ばれる玉ねぎ cipolla、ニンジン carota、セロリ sedano を細かくみじん切り(アッシェ)にしたものをじっくりと炒めたもの。

それぞれの野菜の量はだいたい3:2:1といわれ、これは普通のサイズの玉ねぎ1個、中くらいのニンジン1本、普通のセロリの茎だけの部分で2/3程度に相当します。

西欧の食文化には共通の物が多々ありますが、フランス料理でソフリットに似ているのはミルポワ mirepoix です。ミルポワの方がみじん切りの切り方は大きめ(コンカッセ)で、野菜の比率は2:1:1です。スペインではソフリト sofrito と呼ばれ、トマトも入れたりします。

野菜の持つ甘味や旨味を凝縮させることが目的で、これがいろいろな料理の味のベースとして使われます。例えばボロネーゼ・ソースでは、これにひき肉を加えて煮込みます。スープやリゾットにも使われたりして、レストランでは大量に仕込んで大活躍するのだそうです。

フライパンにオリーブオイルを入れ、切った野菜を入れて炒めていきます。最初に少量の塩を振ることが大事で、この塩の浸透圧の作用により野菜の水分が抜けやすくなります。中火で数分すると、フライパンに水分がたくさんたまって来るのがわかります。

ある程度の水分が蒸発したら、さらにオリーブオイルを追加します。そもそもソフリットという言葉は「揚げる」という意味があり、炒めるというよりは野菜を揚げ焼きにするというのが正しい。

さらに数分すると、次第に周りに脂が溜まって来て、いかにも揚げているという感じになります。この間、野菜を焦がさないように適宜かき混ぜながらなので、あまり手を離すことができません。大量に作るレストランではオーブンを使うこともあるようです。


火を入れて30分以上たつと、全体が飴色のペースト状になってきます。最初のボリュームの半分以下になったら出来上がりで、野菜を切るところからだと1時間近くかかります。どんな料理に使うかによっては、さらに火を入れ続ける場合もあるそうです。

時間があるときに作っておいて冷凍しておき、必要な時に必要な量だけ取り出して使いますので、イタリア料理にはまった人は是非用意しておきたいものです。