2022年5月16日月曜日

コテキーノ


コテキーノ Cotechino は、イタリア、特にモデナの地域でポピュラーなソーセージの名称。

モデナはボローニャのすぐ近くですから、我々が何となく知っている物としては「ボローニャ・ソーセージ」に近いのかもしれません(細かい製法は厳格に区別化されています)。

本来は、当然ケーシング(羊の腸)の中に詰めて作るわけですが、特に豚の足の中身をくり抜いて皮だけ残した筒にパテ(ソーセージの中身)を詰め込んだザンポーネというものも人気だそうです。

特徴は、直径が太目でスライスがコインに似ていることから、同じく縁起物のレンズ豆と一緒に年越しの料理として定番らしい。普通に温めるだけの完成品として売られているので、本場のネットを探しても、コテキーノそのものを作るという情報はあまりありません。

日本でも、ソーセージそのものを一から作るというのは、どちらかというとマニア向けで、キャンプなどにはまったお父さんの趣味みたいな扱い方をよくされています。こどもが小さいときにはキャンプによく行ったので、自分もその口の一人。

実際、やってみるとパテを作るのはいいんですが、一番大変なのは羊の腸とか人工物のケーシングの中に詰める作業。けっこう力仕事で、空気が入ったりしてうまくいかないことが多いし、ボイルすると破裂したりもよくしました。

YouTuber料理人のChef Ropiaさんが、ケーシング抜きの簡単な方法を紹介しているのを見つけたので、これならできそうと思って早速あるもので試してみました。

豚ひき肉 400gくらい。塩 2gくらい。黒胡椒は自分が好きなのでたっぷり。セージ多めで、ナツメグ、オレガノを少々。Ropiaさんは、他にニンニク、バジル、赤ワインなども入れています。赤ワインは開いて余っているのが無かったので省略。砂糖を少し加えるレシピも散見します。

まずはパテ作り。とにかく大事なのは温めてはいけないということ。手の温もりさえも注意が必要というところ。冬のキャンプで作るのはいいんですが、屋内で作るときは大きいボールに氷を入れて、その中の小さなボールの中で作ります。

材料を全部入れて、とにかく捏ねる、捏ねる、捏ねる・・・5分くらいやっていると粘り気が出てきてOKになります。フードプロセッサーを使うのもありですが、回転の熱もバカにならないらしいし、そもそも後片付けが大変。冷たくて手がしんどいのですが、ここはグッと我慢のしどころ。

さて、これを成形するわけですが、ケーシングのかわりに、Ropiaさんは広げたラップの上に薄切りにしたパンチェッタを並べていましたが、一般家庭では手に入りにくい大きさなので無理(薄めのベーコンを勧めています)。

そこで、生ハムを使いました。今回はスーパーで普通に売っているもので、100g入りを全部少しずつ重なるように並べて丁度良い感じ。ラップごと、ぐるりとパテを包むようにして両端をしっかりと輪ゴムで止めます。

続いて、ビニール袋の中に密閉し、お湯の中で加熱します。ここで大事なのが温度。約70゚cをキープすること。そんなことを言われてもと思うかもしれませんが、沸騰した高温だと挽肉がバラバラ、ボソボソ、旨味が出てしまったカスカスの味になってしまいます。鍋の底に小さい気泡ができるけど、湧き上がってくる気配がないくらいがだいたい70゚cです。

加熱する時間は、直径3cmくらいなら1時間。今回は太くなって5cmくらいあるので、2時間くらい加熱しました。こんなもんだろうと信じて時間になったら引き上げて、中身を出し表面の水分を拭きとったら冷蔵庫でしばらく寝かせて出来上がりです。

生ハムはきれいに表面を覆っていて、剥がれる感じがありませんでした。断面も・・・お~、いい感じの色加減です。食べてみると、まさしく(胡椒のきいた)ボローニャ・ソーセージの味。ただ塩気は少な目。生ハムが塩辛いので少な目にしたんですが、倍の4gくらいは入れてもよかったかもというところ。

よけいなものが入らない、(塩気も少ない)体に優しいコテキーノが完成しました。これもまた絶好のワインのお供になりますね。