2022年5月7日土曜日

イタリア・ワインの話 5 銘柄で選ぶ


イタリア・ワインを銘柄で選ぶのは、ある意味一番難しいかもしれません。銘柄で選ぶということは、すなわちイタリア・ワイン法(2011年)に基づく厳格に規定された原産地呼称を選別するということ。基本は使用するブドウの種類と収穫地を中心に決められた呼称なので、一番格上のDOCGであっても、1000円前後のものから何万円もするものまでいろいろあります。

とは言え、基本的には製法だけでなく品質についても一定の審査をクリアしたワインが高い格付けを得ているので、とりあえず最上位のDOCG、あるいはその次のDOCにランクされたワインを選択するのが原則です。最新の格付けでDOCGとDOCが合わさってDOPと呼ばれることがありますが、DOCGのワインはあえてDOPの名乗ることは得策ではないので、ほとんど使われていないのが現状です。

その次のランクはIGT(あるいはIGP)ですが、ワインは嗜好品ですから個人の好みに左右されるので、IGTであっても十分に美味しいワインはたくさんあります。IGTは総じて価格も安いので、日常的に楽しむには十分です。使われているブドウの品種などをしっかり確認して、自分好みを探すのにはリーズナブルな位置づけだと思います。

一方で、国際品種を使用したワインは原産地呼称を使えないことが多いため、優れたワインであっても公的格付けでは最下位のVinoに含まれることも起こってきます。1970年代から、伝統的な技法だけにこだわらず、美味しさを追求したワインが登場するようになりました。これらはトスカーナから始まったとされ、スーパー・トスカーナ(あるいはスーパー・タスカン)と呼ばれています。

DOCGをすべて列挙しても、そもそも飲んだことも無いのがほとんどですし、中には高価すぎて手が出ないものもたくさんありますので、よく見聞きするものや、少なからず飲んだことがあるものを並べてみます。まだまだ勉強不足で、重要な、あるいは人気の高い銘柄をたくさん見落としていると思いますが、これ以上は今後の宿題にさせてもらいます。

ピエモンテ州
DOCG Asti (アスティ) Moscato bianco 100% 甘口の白スプマンテが人気
DOCG Barbaresco (バルバレスコ) Nebbiolo 100% イタリアワインの女王、強い渋味
DOCG Barbera (バルベーラ) 主にBarbera 辛口の赤 (DOCもあるので注意)
DOCG Barolo (バローロ) Nebbiolo 100% イタリアワインの王、強い渋味
DOCG Gattinara (ガッティナーラ) 主にNebbiolo
DOCG Gavi (ガーヴィ) Cortese 100% 北部の代表的な白で強めの酸味
DOCG Ghemme (ゲンメ) 主にNebbiolo
DOC Langhe (ランゲ) 品種多数 白・赤・ロゼ

リグーリア州
DOC Cinque Terre (チンクエ・テッレ) 主にBosco 辛口の白

ロンバルディア州
DOCG Franciacorta (フランチャコルタ) Chardonney、Pinot nero 辛口の白・ロゼ
DOC Lugana (ルガーナ) 主にTrebbiano 辛口の白

ヴェネト州
DOCG Amarone della Valpolicella (アマローネ) 主にCorvina veronese 干しブドウから作り渋味の強い赤
DOCG Soave Superiore (ソアーヴェ・スーペリオーレ) 主にGarganega 辛口の白
DOC Prosecco (プロセッコ) 主にGlera 辛口の白スプマンテで絶大な人気
DOC Soave (ソアーヴェ) 主にGarganega 辛口の白

フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州
DOC Collio (コッリオ) 品種多数 辛口の白・赤
DOC Friuli (フリウリ) 品種多数 白・赤 スッキリして飲みやすい

エミリア・ロマーニャ州
DOC Lambrusco di Sorbara (ランブルスコ・ディ・ソルバーラ) Lambrusco di Sorbara + Lambrusco Salamino 発泡性の赤
DOC Lambrusco Grasparossa di Castelvetro (ランブルスコ・グラスパロッサ) 主にLambrusco Grasparossa 発泡性の赤
DOC Lambrusco Salamino di Santa Croce (ランブルスコ・サラミーノ) 主にLambrusco Salamino 発泡性の辛口の赤
DOC Modena (モデナ) 主に各種Lambruscoなど 白・赤・ロゼ

トスカーナ州
DOCG Chianti (キアンティ) 主にSangiovese 辛口の赤、瓶を保護する藁のフィアスコ
DOCG Chianti Classico (キアンティ・クラッシコ) 主にSangiovese 長期熟成、辛口の赤
DOC Bolgheri Sassicaia (ボルゲリ・サッシカイア) 主にCabernet Sauvignon 元祖スーパー・タスカンの赤、DOCに昇格
DOC Pomino (ポミーノ) 品種多数 果実味の強い白、スパイシーな赤

ラツィオ州
DOCG Frascati Superiore (フラスカーティ・スペリオーレ) 品種多数 辛口の白
DOC EST! EST! EST! (エスト・エスト・エスト) 主にTrebbiano toscano 白

カンパーニア州
DOCG Greco di Tufo (グレーコ・ディ・トゥーフォ) 主にGreco 古代ローマからある濃色の白
DOCG Taurasi (タウラージ) 主にAglianico ギリシャから移入した古代ローマからある赤
DOC Vesuvio (ヴェズーヴィオ) 品種多数 辛口の白・赤・ロゼ、Lacryma Christi(キリストの涙)として有名

プーリア州
DOCG Castel del Monte Bombino Nero (カステル・デル・モンテ・ボンビーノ・ネーロ) 主にBombino 辛口のロゼ
DOC Castel del Monte (カステル・デル・モンテ) 品種多数、白は主にChardonney 白・赤・ロゼ
DOC Galatina (ガラティーナ) 品種多数 辛口の白・赤・ロゼ

サルデーニャ州
DOCG Vermentino di Galura (ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ) 主にVermentino 香りの強い白