ベートーヴェンほどの大作曲ともなると、他人がいろいろな編曲版を発表するのは有名税みたいなものでしょうがない。前回紹介したリスト編曲による全9曲の交響曲のピアノ独奏版なんていうのはその最たる物でしょう。
だいたいベートーヴェン自信だって他人の曲の編曲をしたものがあったりするわけですが、録音という手段の無かった当時としては、これが作曲家やその曲を世間に知らしめることに多いに役立っていたことは否めない。
でも、ベト様はどうも、自分の曲が勝手にいじられるのはあまり好きでなかったようなんです。ですから、そういう楽譜が出版される時にはいろいろな条件をつけたりして一定の歯止めをかけていた節がある。
でも、回りのちょっとランク落ちの作曲家の皆さんはめげません。そんな一人がBlondeauさん。ベートーヴェンのピアノ・ソナタの最初の3曲を弦楽四重奏にしちゃいました。他にも何曲か編曲しているようですが、さしあたってフランスのαレーベルから発売されています。
αは古い絵画をジャケットに使っているのですが、これがなかなかいい。クラシックのCDでは昔から、絵画が使われることが多いのですがかえって古くさいだけで、たいていはあまり面白いレイアウトにはなりません。
ところが、ここでは絵画の一部のクローズアップを配して、デジパック式のジャケットを開くと全体が見られ、そのデザインの斬新さはそれだけでも購入意欲をかきたてられます。
でもって、内容は・・・悪くはない。ピアノで聞き込んでいると、他の楽器での演奏というのはどうもピンときにくいものですが、意外と違和感がない。もともとピアノの単音は弦楽器でのピッチカートに置き換えやすいのでしょう。
もちろん、こればっかり一生懸命聴いてもしょうがないとは思いますが、時には息抜き的にこういうのも面白い。バッハのGoldberg Variationsも、いろいろな楽器によるCDがありますが、それぞれの楽器の味を楽しめばいいじゃないですか。