クラシック音楽のCDというのは、次から次へと発売されていますが、さすがに一度に何万枚とか売れるわけではありません。ですから、よほど話題になったものでないと、すぐに廃盤になってしまい手に入らなくなってしまいます。
名盤と言われたものでも、永らく消えてしまっているようなものも珍しくない。そもそも、アナログ時代のレコードで発売されたものが、いまだにCD化されていないこともよくあるわけで、一部の愛好家の間ではかなりの高額で取引されたりすることもあるわけです。
女流ピアニストのクリダは、1968年から1974年にかけて、フランツ・リストの膨大な作品の中からピアノ独奏曲の集大成を作りました。LPレコード24枚で、当時としては最大規模の「全集」として大変話題になったそうです。
クリダはこの後、マダム・リストと呼ばれるようになったわけで、リスト弾きとして絶大な評価を得ることになりました。ショパンと比べるとリストの曲は、技巧的で比較的男性的な印象がありますが、クリダは逆にリストの隠れたロマン的な部分を引き出すことに成功したと言えるかもしれません。
21世紀になってから、レスリー・ハワードによる狂気のリスト全集(どうでもいいものまでかき集めてCD100枚!!)が完成したために、クリダの場合は全集と言うわけにいかなくなってしまいました。しかし、一般的な作品はほぼ網羅されており、その価値は減じることはありません。
かつての24枚のレコードがCD14枚になって、改めて手に入ることは大変嬉しい。これだけでも、全部を聞き終わるのには結構な時間が必要ですし、リストの曲はなかなか聞き流しができないので大変。
それでも、すべてを聞きたいという超マニアの方はハワード、有名な曲だけでいいという人はボレットかシフラのセットがお勧めです。