アメリカ・ハリウッドの映画の最も輝いていた時代を支えた女優、エリザベス・テイラーが亡くなりました。1932年生まれで、79歳。
女優としては脂が乗っている50歳台ごろ、1980年代以降はめだった作品も無く、若い人には伝説になってしまったかもしれません。または、マイケル・ジャクソンが敬愛していたことで名を知っているくらいなのかもしれません。
どうして、主演をはる表舞台から後退したのかは、自分にはうかがい知るところではありません。しかし、少なくともアカデミー賞の歴史を見れば、50年代から60年代にはリズなしでは映画を語ることができないほどの絶大な人気を誇っていたといっても良いでしょう。
日本では、伝説的な女優としては吉永小百合がすぐに思い出されますが、吉永小百合は年を取るに連れて、ますます魅力を増してさらに輝いているところがまったく違います。
誰もが知る作品と言えば、おそらく「クレオパトラ(1963)」でしょう。「ベンハー」などと並んで、歴史物大スペクタクル物の代表的な作品です。あるいはアカデミー主演女優賞を受賞した「バージニア・ウルフなんかこわくない(1966)」を代表作にあげる方が多いのかと思います。
自分の場合は、アカデミー監督賞(G.スティーブンス)に輝く「ジャイアンツ(1956)」が、ジェームス・ディーンの遺作ということも手伝って、最も印象的な作品です。一つの家族の歴史を追いかけていく愛憎劇で、アメリカという国の縮図のようなものを見ることができるのです。
とにかく、神格化され伝説となった大女優であり、そういう方は今後二度と出現しないと思います。一つの文化が終わった、一つの時代が去っていく、そういう思いを抱かされました。