2011年7月2日土曜日

リウマチ治療のジレンマ

関節リウマチ治療方法にとって、今年の2月にメソトレキセートの保険で認められてる用量が増えたことは画期的である、と同時に医者の立場としては悩ましい面もあります。

メソトレキセートは、リウマチ治療薬の中ではアンカー・ドラッグという位置づけにあります。これは治療の基本となるという意味であり、リウマチ専門医を自称するからにはメソトレキセートを使いこなすことは必須事項です。

もともと認められていた最大8mgという量では、どうしても効果を引き出せない患者さんはけっこう存在しているのです。以前は、そういう場合には、他の抗リウマチ薬に変更したり、あるいは併用することで対策を考えていました。

実際、8mg以上に使えば、十分コントロール可能な患者さんが少なくないことはわかっていました。しかし、保険医療という枠組みの中では、決められた使用方法を逸脱することは許されません。

しかし生物学的製剤と呼ばれる強力な薬剤が登場してからは、メソトレキセートが不十分であれば次の選択肢としてはそれらを使用することが普通になってきたのです。

世界的な流れから言っても、できるだけ早期に生物学的製剤を使用することで、事実上「治癒」と同等の状態に持っていくことができる患者さんが増えていることは、リウマチ診療の中では画期的と言えるのです。

さて、そこでメソトレキセートの増量です。薬品の値段を考えると、メソトレキセートの商品名であるリウマトレックスは1カプセルがおおよそ300円。例えば8mg(4カプセル)を使用している場合には、300円×4カプセル×30日間×自己負担割合でだいたい3000円程度の薬代がかかることになります。

現在の最大容量で16mgを使用したとしても6000円位であるのに対して、生物学的製剤を使用すると1ヶ月に35000円~40000万円といっきに跳ね上がってしまうのです。ですから、メソトレキセートを増量していく作戦は、患者さんやその家族にとっては大変経済的負担が少ないというわけです。

ただし、増量したからといって、必ず効果があるという保証はありません。増量で効果がないということ判定するには、通常数ヶ月様子を見ないといけません。

この間に、ますますリウマチの勢いが強まってしまうと、生物学的製剤を導入が遅れた分、関節部分の変形を気にしないといけなくなります。医者としては、ここのところがけっこうジレンマなのです。

メソトレキセート増量にするか、生物学的製剤導入にするかは、けっこう重大な決断を要することになります。現状の日本の保険医療制度の中では、生物学的製剤を第一選択で使用できません。ここのところが改訂されるまでは、しばらくリウマチ医の悩みは続くのかもしれません。

本日の車の目撃は、プリウスαは当然ゼロですが、今回は外車をカウントしてみました。
ベンツは5、BMWが13、フォルクスワーゲンが5でした。ただし、車種の違いは考慮していません。BMWは人気だなぁ。