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2008年8月19日火曜日

オスグッド病

Osgood's disease (Osgood-Schlatter's disease)、日本では通称オスグッド病といいます。日本語だけでいうことはないのですが、あえて言うなら小児期脛骨粗面骨端線障害とでもいいましょうか。

オスグッド病の説明や図はインターネットで検索すれば、山ほど出てきますのでそちらを参考にしてください。ここでは、基本的な考え方を整理してみましょう。

小児期・・・つまり運動量が増えてくる小学生で骨が大人になる前。女の子なら小学5~6年生くらいまで、男の子なら中学3年生くらいまでの期間限定の問題です。

脛骨(けいこつ)とは膝の下のすねの骨。その粗面というのは正面で膝下数cmのところで、膝を伸ばすための太ももの前側の筋肉が最終的にくっついている所。

たとえばサッカーのように膝を思い切り伸ばしてボールを蹴るような動作をした時に、筋肉がすねの骨を引っ張り上げているわけですが、この脛骨粗面にはそのストレスが集中するわけです。

そこで問題になるのが骨端線(こったんせん)。別名を成長軟骨板ともいいます。手足の長い骨の端から数cmのところには骨端線という骨が長く伸びていくための軟骨でてきた層があります。大人になるまでにだんだん狭くなって消えてしまいます。骨端線の残っている状態によって、身長の伸びが予想できるわけです。

周りの硬い骨に比べると、軟骨でできている骨端線は当然やわですから、いろいろ問題を起こしやすい。脛骨粗面のすぐ下にこの骨端線があるので、引っ張る力が多くかかると軟骨部分がちぎれて脛骨粗面はめくれ上がってしまうのです。

もちろんたいていはじわじわと起こるわけで、日常的な生活ではあまり大きな問題にはなりませんが、スポーツをするときにはより強い力がかかるので、しばしば痛みがでてしまい力を発揮できません。

基本的な考え方として、骨端線が消えてしまう(閉鎖したと言います)、つまり大人の骨になれば固まってしまい出っ張りだけ残りますが、問題はなくなります。たいていの男の子は多かれ少なかれ、やや出っ張っているのが普通ですよね。

ですから、それまでの間何とか痛みを出さないような形が取れればいいわけで、一番簡単な方法は原因となっていることを中止すること。主にはスポーツですが、高校生になるまで激しい運動を避ければたいてい問題はありません。

問題は、小学生高学年から中学生の間、スポーツをやりたくないこどもはそうそういるもんではありません。というか、スポーツが嫌いなこどもなら、だいたい問題を起こしませんから。命に関わるわけではありませんから、できることならうまく運動を続けさせてあげたいと考えるわけです。

ただし、痛いのをがまんして、スポーツを続けていった結果、大人になっても痛みを残してしまう場合がないわけではありません。浮き上がった脛骨粗面がばらばらに割れてしまい、うまく固まりきらないときは、しばしばここにぐらつきが出て痛みが出てしまうのです。

もちろん、大多数は固まってしまうのですが、うまく運動をコントロールしていかないと、結局いつまでもスポーツができないということがありうるわけですから、きちんと問題を理解することが大切ですよね。

理解するのは、もちろん本人・・・と指導者、そして親です。こどもはもちろん目先のことしか考えられません。親はこどもが一生懸命打ち込んでいるものがあると、こどもの将来のことを忘れて、今のこどもを応援してしまうものです。数年間我慢をさせることができなくて、5年後、10年後の活躍を見ることができなくなってしまうのは残念でしょう。

けがや病気をちゃんと治せない選手は、しょせん活躍はできないということを認識してください。まぁ、そんなに大げさに考えなくてもいいのですが、とりあえず痛みの程度によって多少のがまんは必要ということです。

何をがまんするか。結局脛骨粗面に引っ張る力がかからないようにできればいいわけです。ですから、一番簡単な方法はスポーツの禁止。ですが、そこまでしなくても運動量を減らすとかでもいい。

あとは運動の仕方の改良。膝を力強く伸ばす動きはできるだけやらない。膝にサポータをする。お皿の下を圧迫して、力が伝わりにくくする(専用のバンドもあります)。慢性的に痛む場合は、冷やさないようにする。湿布などの外用の痛み止めを使用する。

ただし、いつもより強い痛みが急に出た場合は、骨折みたいなものですから、冷やして腫れを抑え、さすがにしばらくは運動禁止にするしかありません。でも、その場合でも通常は数週間、長くても数ヶ月です。

みんなでちょっと我慢をして、こどもたちがいずれやりたいだけスポーツをやれるようにしてあげることが大人の役目です。そして、ロンドンでより多くの日の丸を見ることにしましょう。