古代エジプトというのは、けっこうロマンを感じる話題で、いつかはクフ王のピラミッドの内部に入ってみたい物だと思っているのです。
開業するときは、勤務医を辞めた後に1ヶ月くらい旅行をして、エジプトにも行ってみたいとか思っていました。実際は、準備でそれどころではなく、もう当分そんな旅行をすることなんてありえない現状ではあります。
そもそも、大学生の頃に最近亡くなった栗本薫と早稲田の吉村作治と古代エジプトについての対談本がきっかけでした。朝日新聞社のカルチャー本のシリーズの一つだと思いますか、豊富な写真と共に吉村作治のエジプトに対する思いがページの隅から隅までに感じられる本でした。
日本テレビの企画でエジプトでミニチュアのピラミッドを作る番組があって、いかにしてピラミッドを当時の技術力で作り上げたかを検証する番組でした。この番組で吉村作治という人をしったのですが、その後テレビに出まくってた「吉村作治」という人とは別人でした。
さらに吉村作治の早稲田での講義ノートを単行本として講談社が出版し、この3冊の本は何回も読み返しました。日本の歴史よりも、さらに壮大な中国の歴史よりも、より遠い紀元前数千年の昔の話から始まる古代エジプトの話は、今の世界を支配している人間とはまったく別の生物の世界のような感じがしたものです。
聖書の世界であるモーゼの出エジプト記も、現実の話として存在している。海が割れてモーゼが歩いて行く話も、現実には嵐でモーゼを追いかけてきたエジプト軍の舟が沈没していく様子を元にしているらしい。
呪いの話の代表みたいなツタンカーメンだが、実は若い王の妻とのラブストーリーは究極の恋愛ドラマだったりする。その墓の存在をひたすら信じて、発掘を続けるハワード・カーターの話も壮絶な人間ドラマです。
エリザベス・テイラーのイメージとかぶってしまうクレオパトラであるが、教科書の世界でしか知らなかった歴史上の人物が、人間として生き生きと動き出すような話の連続は本当に楽しい。
古代エジプトの文字、ヒエログリフも大変興味深い。母音がなく子音だけで綴っていく象形文字で、ナポレオンの時代に、ロゼッタストーンからシャンポリオンによって解読されていく過程の話は下手なサスペンスドラマよりもスリルにあふれた話です。自分の名前をヒエログリフで表すとこんな感じ。うちの長女は大英博物館でロゼッタストーンの本物を見てきているのが、うらやましく思うのです。
とにかく、古代エジプトと呼べる世界の魅力は尽きることがありません。あまり年を取らないうちに、なんとか自分の目でその遺産を見てみたいと真剣に思っているのでした。