「もう、やだ。ほんと、やだ」
「なにを、そんなにすねているんですか」
「不信任案に反対してくれるかわりに、退陣を約束させられたんだぞ」
「いいじゃないですか。はっきりと時期を明言したわけじゃないんですから」
「でも、ずいぶんとねちねちと言われたぞ。はらわたが煮えくり返る気分だ」
「それにしても、いちばんずるがしこいのがあいつです。」
「そうそう、結局採決には欠席して、事実上反旗を翻しておきながら、いざとなったら党に居残る作戦だ」
「結局、総理を追い詰めることには成功したな。野党からの不信任案を生かすも殺すも、わたししだいということが、よ~くわかっただろう。わたしは少なくとも不信任に賛成はしていない。党を割ってもよかったのだが、さすがにそれはマスコミの餌食になってしまうからな」
「もう少し時間があれば、多数派工作ができたんですが、今回はさすがに厳しかったですね」
「チルドレンは熱さを利用するのは簡単だが、さすがにもともと出身政党が違う連中は、なかなか言うことをきかんな」
「所詮野党気質が染み付いていますからね。いずれにしても、解散総選挙になれば、われわれは相当不利ですからね」
「おいおい、結局不信任案は否決されてしまったじゃないか。あいつらを分裂させて、解散総選挙。すべての議席を取り戻すという作戦だったのに、なんかばくらかされたみたいだ」
「そうは言いますが、今政権を取り返しても、結局は厳しいことだらけです。うちだって、一枚岩とはいえないのですから、今の情勢は連中にすべて責任をかぶせてしまっておいたほうが得策というものです」
「そうだな。あまり、表に出ると昔のことがやたらと掘り返されて、批判の矛先に立たせられてもやっかいだ。とりあえず、連中の中に時限爆弾を仕掛けることができたようなものだから、ゆっくり見物していよう」
なんにしても、やっぱり国民は蚊帳の外・・・・