どういう時に整形外科を受診するか? というのは、しばしば尋ねられる質問で、形成外科や美容整形などと混同している方が少なくない。
誤解を恐れずに一言で言うと、形成外科は主として皮膚表面の外科的治療を主体とします。さらに、その中で見た目の美しさに特化したものが美容整形。機能面よりも、外観的な問題を解決するための医学とも言えます。
整形外科は、運動器およびそれに関する器官に関係して病気や怪我を扱い、主として機能的な改善が目的にあることが多い。
たぶん、運動器という言葉がわかりずらいのが、整形外科って何という疑問が消えない原因ではないでしょうか。体の中から、表面の皮膚とあらゆる臓器を除いた残り全部が整形外科の対象ですという説明もあったりします。
運動器は、まず中心となるのは骨格。背骨と手足の骨が含まれます。ただし頭の部分は脳や顔のそれぞれの器官(耳、鼻、目、口など)と密接な関係があるので、それぞれの専門科にまかせて整形外科では扱いません。
そして、その骨格を連結する部分の関節や、動かすためのモーターの役目をしている筋肉と、そこへ信号を送っている末梢神経の問題までが整形外科の守備範囲。
ですから、背骨・手足の痛みやしびれ、うまく動かないなどの訴えを扱うことが多くなりますので、当然生まれたての赤ちゃんから高齢者まで、全年齢層が対象となります。
特に臓器損傷を伴わない怪我の大多数は整形外科の守備範囲で、打撲・捻挫・骨折、擦り傷・切り傷などは最もわかりやすい問題です。
病気としては、骨・筋肉・神経の感染・炎症・腫瘍などとともに、高齢化社会を迎えて加齢性の変化による問題が最も多い。
実際に来院する患者さんの訴えは、圧倒的に膝・腰・首付近の痛みが多い。若い方では怪我的な要素が多く、高齢者では加齢性変化が原因となりやすい。
関節炎は代表的な疾患ですが、その原因は多岐にわたりますが、単なる物理的ストレス(使いすぎ)が一番多い。そして、病的なものとしては関節リウマチと痛風性関節炎が頻度の多いものとなる。
ただし、病的な関節炎の治療は整形外科的な治療だけでは不足しており、内科的なアプローチを含めて集学的治療が必要ですから、かなり専門性が高くなっています。自分の場合、主にそこを専門として日頃の診療を行っています。
・・・と、言うわけで、整形外科とは? という疑問に対しては、何度でも繰り返し説明し続けなければならない状況は、今も昔もあまり変わっていない感じがしています。