日本経団連の米倉会長(住友化学会長)、経済同友会の長谷川代表(武田薬品社長)、日本商工会議所の岡村会頭(東芝相談役)の財界3団体トップが、昨日共同で記者会見をしました。
その中で、政府が14日に「2030年代の原発稼働ゼロ」を目標とする新しいエネルギー政策の方針を発表したことについて、そろって撤回を強く要望しました。
米倉会長は、「経済界は雇用や国民生活を守る立場から、原発ゼロは反対。経済界の声を全く受け止めていただけなかったのは極めて遺憾」と政府を批判しています。
同じようなコメントは、他の大企業からも出ていて、大多数の一般国民の側から見ると必ずしも疑問を感じる内容なのではないでしょうか。
自分は原子力発電が無ければ、国の経済活動についてはある程度の停滞を余儀なくされるだろうことは理解できます。積極的に原子力をゼロにすることは、かなり困難なことであろうと想像します。
だからといって、今や原子力を安全に利用する技術が未熟であり、またひとたび事故が起こるとそれを制御できないということがはっきりとした今となっては、そのままでいいわけがありません。
産業界の意見は、あくまでも企業の都合が優先した物であって(それはそれで企業のトップとしては当然ですが)、国民の代弁者のような発言の仕方はいかがなものかと。
もっとも政府の方針も中途半端で、あくまでも国民感情に配慮したリップサービス程度のこと。現実的な問題の提起と解決策については、当然のことながら何一つ示されていないわけです。
今年の夏を目前にして、大飯原発を性急に再稼働させたことも、結局経済界からの強い圧力があったことは容易に想像できます。いずれにしても、立場の違いによってあまりにも考え方が違ってくる大きな問題だけに、そうは簡単に国民の総意を得ることは困難でしょう。
少なくとも、これまでのままではダメだというところからスタートして、変われるところから少しずつ変えていくしかないんでしょう。ヒトがずいぶんと欲深い生き物になってしまったツケは大きいですね。