2013年12月30日月曜日

2013年 総決算

今日で、年内のクリニックの診療は終了しました。

今年の自分は・・・可も無し不可も無しですが、そもそもクリニックを開業しようと思った目標の達成の目安が立った年ということになりました。

何しろ我が家にはこどもが三人いまして、大学の勤務をしていては、はっきり言ってとても全員大学に進学させるのは厳しいというところがありました。女子医では、同年代の東京都職員の給料よりも少なかったんですよね。

もちろん、貯えというのもできないし、まぁ自分と家内の老後ということを考えても、そのままじゃいかんという思いがありました。

開業医になって、最初の数年間は軌道に乗るまで試行錯誤の繰り返しで、こんなことなら勤務医の方がよかったかもと思うことばかり。

患者さんが増えて、桃栗の三年で、やっと黒字をコンスタントに出せるようになり、今年の柿の八年目で目標達成が見えてきたというのも、当たり前かもしれません。

目標達成というのは、他でもないこどもが全員大学に進学できたということなんですが、もちろん親がいくらがんばってもこどもが主役の話。こどもの成長というのは、親になったからには最上級の責任があることで、大学進学は少なくともその責任を果たす下地を用意することになると思っています。

とりあえず、成人して大学を出れば、あとはそれぞれの問題。あと3年くらいすれば、後は老夫婦二人でのんびりと・・・ってな具合には、簡単にはいかないでしょうが、少しは楽になるかなと・・・思いたい、思ってもいいですよね。

もちろん、診療について手を抜くことはできませんし、医療法人としたからには、できれば自分ひとりで終わらせず、何十年後でも地域で信頼されるクリニックとして存続し続けているというのが理想です。

ですから、数年後に当初の目標が達成できても、次の目標、さらにその次という具合に新たな目標が見え始めているわけで、医者は「老後」の無い一生現役みたいなものと言えるかもしれません。

今年のクリニックは、去年くらいからほぼ患者数には変化はなく、収入的には前年同月割れもあれば、上回ることもありました。最初の頃は、一日に40人の患者さんが来ると、もう無理と無思っていた時期がありましたが、患者さんが増えてもそれなりにこなせるようになるものです。

とは言っても、医者一人がさばける患者数は無限ではなく、どうしても増やしたければ一人当たりの診察時間を減らすしかない。そこからは、個々の医者としての診療に対する考え方によるわけです。

自分の場合、関節リウマチを診療の中心に位置づけている以上は、それなりの時間が必要。最低、これだけは話したいと思うことが山ほどありますから、さすがに、そこのところを削るわけにはいかない。

となると、今くらいの患者数というのは、肉体的には余裕があるかもしれませんが、診療の質ということから考えると、ほぼ限界にきているのかもしれません。量と質のバランスがもっともうまくとれている状態という言い方もできる。

もしも、さらに大きくしたければ医者を増やしたりすることを考える・・・のですが、今のところそれは無理。というのも、まだまだ少なくとも赤字は出ないという状態に変わりはない。

何しろ、今年ちょっと驚いたのは、うちのクリニックの収益が、日本の平均的な整形外科診療所の収益からすると半分とは言わないものの、かなり少ないという事実。あまり他人と比較する資料というのは、意外とないもので、今まであまり気にしたことはありませんでした。

診療報酬の一人当たりの請求が平均よりも高額なところは呼び出されて、 チェックを受けるというシステムがあります。その呼び出される基準の額がのっている表を見たところ判明したわけです。

もちろん、これは他のクリニックがいんちきをしているということではありません。いろいろな要素が絡んでくることで、それぞれの医者の信念に基づく話ですから、これはこれでしょうがない。

自分のスタイルを壊して、収益を増やすことは、最終的にどこかで無理がでることにつながるわけで、医療というサービスでは絶対にしてはいけないこと。

とりあえず、関節リウマチについては、時代に置いていかれないように、必死にくらいついて勉強し続けるしかありません。もちろん、整形外科医ですから通常の膝や腰の痛みの患者さんや、ケガをした方の診療も手を抜くわけにはいかない。

また、一番古い受付スタッフが3月に辞めました。ご主人の勤務の関係で引っ越したのでしょうがないことなのですが、何しろ何でも任せておけばよかったのでクリニックとしての痛手は大きい。

さらに、その代わりとして受付を仕切ってくれるかと期待していたスタッフが出産で9月に退職。幸い、残っている受付スタッフががんばってくれているのと、秋からの新人さんがしっかりしているので何とか乗り切れました。

若いスタッフは、妊娠・出産あるいはこどもの病気などの不確定要素があり、うちのような少人数クリニックでは心配なことがあります。一方、自分も含めて40~50代のスタッフは、高齢になった親をかかえていて、これも不確定要素。

あいかわらず、雇用の問題がクリニックを左右するのは今年も同じでした。でも、幸いなことに一生懸命働いてくれスタッフがそろっているので、 本当に助かっています。

もう一つ大きな枠が、当直のバイト。開業して8年たって、まだバイトしているのと驚かれることがあるのですが、もちろん法人ですから自分の給料を増やして当直をやめることはできなくなはない。

ただ、そうすると法人はぎりぎりすぎで、新しい医療機器などの導入ができなくなってしまう。今年は骨密度測定器を新調しました。来年は、物理療法機器を増やしたいと思っていますので、それなりの余裕は作らないとまずい。

とは言っても、さすがに50代なかばになって、土日当直してそのまま月曜日のクリニックは辛いものがあります。体力的な衰えというのは確実に実感しているところ。

以前の総決算を読み返すと、まぁよく働いているなぁと感心します。今年は、基本的に祝日の当直はしませんでした。今年は、まじめにカウントしなかったので正確ではありませんが、開業当初に比べると当直の収入は半分くらいになっていると思います。

当直バイトをするというのは、医者として最低限の内科的な診療ができることを維持する事に役立っているのと、クリニックのことを忘れる時間を作るという意味でけっこう重要です。

一年中、クリニックのことばかりだと、正直言って飽きる部分と言うのも必ず出てくると思うんです。当直に行っている間は、クリニックのことは考えても何もできないので、ふだんが逆にクリニックに集中できると思っています。

結局、毎年同じような状況の繰り返しみたいなものですが、着実に地域に溶け込んでクリニックとしてはわずかながらも発展しているのだろうと思える一年だったと思います。来年になって、何かが変わるわけではありませんが、日々粛々と自分のすべきことを続けるだけということでしょうか。