2015年7月30日木曜日

利益相反

最近、講演会に行くと、演者の方が最初に「利益相反」を提示するようになりました。

正直、耳慣れない言葉で、よくわからない。提示されている内容から察すると、とりあえず「私は特定の組織と組んで、積極的に利益を得ていることはありません」という宣言みたい。

日本内科学会では、利益相反委員会というのがあって、今年の3月に利益相反指針の改定を行い、積極的に運用するように勧告しています。

これには、高血圧薬サインバルタの臨床研究で、製薬会社自らがその結果を左右する行為を行ったことが発覚し、医学全体に対する信頼性が損なわれたことが大きく関与しているようです。

一般的には、利益相反(COI)は「依頼者に対し中立の者が、自己や第三者の利益のために、依頼者の利益を損なうこと」ということらしい。

学会の指針の最初には、「会員,非会員の別を問わず発表者は、医学研究に関する発表・講演を行う場合,配偶者,一親等の親族,生計を共にする者も含めて,関連する企業や営利を目的とした団体との経済的な関係について過去1年間におけるCOI状態の有無を開示するものとする(一部略)」としています。

とにかく、やたらと面倒な時代になったものだとという思いもありますが、積極的に透明性をアピールしないと、せっかくの学問的成果が疑われるような事件がたくさんあることも否めません。

ただし、あまり細かく規定しすぎると、形式だけのものになってしまうかもしれません。そのあたりの匙加減が難しいかもしれませんね。