これはもう、はっきり言えるんですけど、ずいぶんとさぼりました。
春までは、バッハの教会音楽中心にせっせとCDを探していましたが、4月に1年間かけて聴いてきたカンタータを聴き終えてからは、ほとんど抜け殻状態。
J.E.ガーディナー盤の全集を中心に聴きとおしたのですが、何しろCD56枚ですからさすがに達成感ははんぱない。その後に鈴木雅明盤を聴き始めたのですが、演奏が悪いわけもないのに、どうしても集中できない。
鈴木盤がCD55枚で、その他に集めたCDが数十枚あって、やはりというかとても聴き通せる量ではありません。さすがに新しいCDを探している場合じゃないので、これらを順にこなすという感じ。
さすがに宗教がらみの曲ばかりだと飽きてくるとまでは言わないものの、新鮮味が無いのでまたぞろシューベルトやベートーヴェンなんぞも聴きなおしたりして過ごしているうちに、もう今年は終わりに近づいてしまいました。
ですから、品木に購入した今年の新譜としてめぼしいものはほとんど無いというのが現状ですが、実際のところ××生誕○○年のような記念イベントもなかったので、クラシック音楽については低調な一年と言えなくもない。
その中では、5年に一度のショパン国際コンクールが開催され、日本人の小林愛美さんがファイナリストに残るというニュースは嬉しかったですね。
残念ながら、入賞は逃しましたが、今後の活躍に期待したいと思います。海外で活躍する日本人は増えてきたように思いますが、内田光子さん並みに世界中から注目される演奏家はほとんどいないですからね。
とりあえず最近10年間の自分の音楽趣味について言えば、グレン・グールドからクラシック音楽にはまり、ベートーヴェンのピアノ・ソナタに走り、シューベルトの出会って、今度は室内楽。聴くものが無くなってきたので、重い腰を上げて交響曲、そして古楽に転身して、バッハの宗教曲というところ。
長いクラシック音楽の歴史の全体にちよっかいを出してきましたが、もうだいたい自分が許容できるものははっきりしました。
バロックはイタリア・ドイツ、代表的に作曲家で言うとJ.S.バッハ、ヴィバルディ、ヘンデル。古典は、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン。特に今更の様ですが、ベートーヴェンという人は本当に音楽家としてすごいと感じます。
そして個人的に最も好きなのがシューベルトで、ピアノ・ソナタは偉大なベートーヴェンの32曲よりも好きです。シューベルト以後は、だんだん苦手が増え始め、ロマン派は基本的に無理。ただしドヴォルザークを代表とするスラブ系の独特の牧歌的な旋律には魅せられます。
基本的に、かなり保守的なセレクトになるわけですが、近代の前衛的なものは音楽として認められないし、全時代を通じてどうしても馴染めないのがフランス物ということになります。
歴史の中での重要性は認めるものの、フランスの音楽に限らず芸術全般について、新しいものを取り入れていく国民性なのか、先進的な雰囲気についていけないというのが正直な気持ちです。
ジャンルとしては、もともと器楽曲や室内楽曲が好きですが、古楽から苦手な声楽に進めて間口が広がったのは自分的にもニュースです。この勢いで、ほとんど黙殺してきたオペラに進むかと思ったのですが、これはどうしても無理そう。
オペラの大きな壁になっているのが、内容がわからないこと。そりゃまぁ、和訳した台本とか見ながら聴けばいいじゃないかと言ってしまえばそれまでですが、オペラは基本的に視覚芸術ですから音楽だけでは成り立ちません。
そんなわけで、ミサ曲に疲れてくると、内田光子さんのシューベルトをまた聴いている2015年の師走なのでした。