よく指を鳴らす人がいるんですが、ポキポキくらいならともかく、バキバキ鳴らす人もいて、たいていの人が鳴らすと楽になるみたいな感覚があるようです。
そこで、整形外科に受診した際に「なんで鳴るんですか?」という質問がよく来るわけですが、実際のところよくわかっていない。
そこで、今までその答えは、
-- よくわかりません。体内で起こる音のほとんどが原因不明。鳴る方がいいとはいえないので、わざわざ鳴らすことは問題ないか、場合によっては悪いかもしれません。鳴らさないに越したことはありません。
という具合にお答えしてきました。
一般的に言われている見解としては、関節内にある潤滑剤である関節液内の気体成分が瞬間的にガス化してはじけるからではないかと言われているのですが、ちゃんとした知見はありません。
少なくとも、急激に関節を動かすことにつながるので、ある程度の負担をかけることは容易に想像できますから、関節の加齢性変化を助長する可能性は否定できないと思います。
最近、北米放射線医学学会というところで興味深い発表がありました。音がするメカニズムを解明するために、指の関節を鳴らした瞬間を超音波検査で確認するというもの。
40人の被験者に指を鳴らす動作をしてもらい、計62回分の関節エコー画像が得られ、そのすべてで音がする瞬間に閃光のような画像が発生したということらしい。
これは、瞬間的にバブルが発生してはじけたことを意味しているわけで、従来考えらていたことを裏付けるものです。ただし、バブルがはじける音ではなく、溶解していた気体が動かすことによって内圧の変化によりガス化した瞬間に音が発生するということです。
また、音を発生させて後は、関節の動く範囲が広がるらしく、そのことが鳴らすと楽に感じることにつながっているらしいとも言っています。
まぁ、医者としてそれなりの根拠を持って患者さんに説明できることが多いにこしたことはありません。いずれにしても、鳴るのが普通ではないことに変わりはありませんけどね。
ただし、注意してほしいのは、これはあくまでも指の関節の話。膝や首がなる人もたくさんいるんですけど、それらも同じ理屈とは言えません。
膝は、バブルの関係の音もありそうですが、関節内の構造が壊れていることが原因の音も確実にあります。首に至っては、バブルだけでは説明できません。
音がする時というのは、急激に圧をかけたり、急速に加速が加わった時がほとんどですから、長期的には何らかの悪い影響がある可能性は十分にあると思います。