2017年2月20日月曜日

スペース・カウボーイ (2000)

監督、主演はクリント・イーストウッドで、2000年の作品。


スペースだからといって、いわゆるSFとは一味違う。カウボーイだからといって、西部劇と言うわけではない。

タイトルだけだと、どんな映画なのか想像しにくいのですが、夢を追いかけるアメリカ人らしいヒューマン・ドラマというのが合っているかもしれません。

人類初の宇宙飛行士を目指していたフランク(イーストウッド)ら4人のテスト・パイロットは、その栄誉を猿に奪われてしまい、夢は叶わず今はそれぞれの場所でそれぞれの人生を送る老人になっていました。

旧ソ連が打ち上げていた通信衛星が、故障して誘導できなくなったために、NASAが協力して修理を行うことになったのですが、何しろコンピュータ以前の代物ですから、直せるものが作った本人であるフランクしかいない。

NASAが協力を求めてきたので、フランクは仲間の4人と一緒にスペースシャトルに乗り込むことになり、40年来の夢を実現させることになります。

しかし、そこには、何故NASAが旧ソ連に協力するのか、そしてそもそもフランクの装置が何故旧ソ連に衛星に使われているのかという謎があります。

しかし、それらは老人がいきなり宇宙飛行士になるという冗談のような話に現実味を持たせるための「小道具」みたいなもの。

この映画では、純粋に夢を実現させるには年を取り過ぎたことで巻き起こるドラマを、笑いと涙と拍手で見せてくれます。

イーストウッドは年齢を重ねるにつれて、少しずつそれをうまく小出しにしてきた感じがありますが、この映画は「年寄り」であることを、躊躇せずに正面から表明したことが驚きでした。

もっとも、当時70歳ちょっと手前ですから、さすがに当然と言えば当然のこと。しかし、アクション・スターとして40年間活躍してきて、ここまで老人を演じたことはない。

もう一人、チームの一員として登場するのが「宇宙人ジョーンズ」でお馴染みのトミー・リー・ジョーンズ。フランクとの確執を抱えながら、違う人生を送り違え形での夢を完結させる役でもう一人の主役です。

アメリカが宇宙旅行で盛り上がった60年代のヒット曲、"Fle me to the moon"が最後に流れて、粋な余韻を残していくところはさすがです。