2017年2月22日水曜日

Simon & Garfunkel / America


Simon & Garfunkel は、60年代後半~70年代に活躍し、その後のミュージック・シーンに大きな影響を残したアメリカのフォーク・デュオ。

今更、紹介するまでもないくらい有名ですが、自分も中学~高校の時に、ずいぶんと聞いたものです。その中でも、いくつかある好きな曲のひとつが「アメリカ」です。

60年代、ベトナム戦争に足を踏み入れたアメリカは、混沌とした喪失感に満ちた時代でした。若者は、より自由を求め反体制的な雰囲気が強まります。

当時の空気を、映画で描きとった名作の一つは「イージー・ライダー」であり、音楽ではサイモン&ガーファンクル・・・それも、ずばりのタイトルである「アメリカ」なのかもしれません。

アメリカを南部からニューヨークに向かうグレイハウンズの長距離バスに乗ったカップルが、アメリカらしいいろいろなものを見たり聞いたり触れたりしながら、夢と希望からしだいに苦悩と悲しみに気持ちが変化していく様子が、たんたんと歌われています。

当時は、繰り返し、「みんなアメリカを探しにやって来た」と歌われる部分しか英語を理解できませんでしたが、何か夢がある歌なんだろうと思っていましたが、そのわりに曲調の重さみたいなものも感じていました。

アメリカのベトナム病は、このあとさらに深刻化していきます。なんとか立ち直りをみせたとたんに、再び「イスラムとの戦い」の渦中に入り込んでいくアメリカ。

それは「テロとの戦い」として世界中に広がり、ソフト・ターゲットに対する「第三次世界大戦」状態になってきていますが、アメリカは自国の利益を最大限優先することを表明する男をリーダーに選びました。

政治面だけでなく経済面でも、混乱を招き始めている状況ですが、まだその行き着く先は見えません。「アメリカ」に登場する二人のように、未来への期待がしだいに変質していくことが繰り返されるのでしょうか。

They’ve all gone to look for America ・・・

皆がアメリカを探すために出てきたんだ。しかし、そこには虚無感、喪失感しかないことに、気がつき始めている・・・ようなことにならないことを祈るしかありません。