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2017年11月23日木曜日

記紀から知る新嘗祭


現代では毎年11月23日は、勤労感謝の日として国民の休日にあたります。今までにも、話題にしたことは何度もありましたが、実は本当の意味は知らずにいました。

今でも毎年この日は皇居では、新嘗祭(にいなめさい)と呼ばれる重要な儀式が行われています。その年の豊作に感謝し、天皇が新米などの五穀を食する収穫祭だそうです。特に即位後、最初の新嘗は大嘗祭(だいじょうさい)と呼びます。

戦前までは、祝日の名前として新嘗祭が用いられていましたが、戦後に天皇崇拝を弱めたいGHQの意向で、一般には勤労感謝の日と呼び名を変えたもの。

古事記では、高天原でやりたい放題のスサノオが、くそを撒き散らしたアマテラスの食事をする場所を、大嘗之殿と呼んでいます。一番古い起源はここにあるのかもしれません。

天孫降臨神話における、アマテラスからニニギへの稲穂の実る中つ国の支配権の移譲が大嘗祭に転換したという説もあります。

日本書紀には第16代、仁徳天皇の治世40年に「新嘗の月に宴会」を行ったとの記録があり、文献上初めての新嘗祭にまつわる記述です。西暦ははっきりしませんが、おそらく4世紀半ばのこと。

第35代、皇極天皇は、西暦642年に始まり、その元年11月に、「丁卯、天皇御新嘗。是曰、皇子・大臣、各自新嘗」とあります。これは「11月16日、天皇は新嘗を行った。同日、皇子、大臣も各自に新嘗を行った」という意味で、明らかに天皇が新嘗祭を行ったという初めての記録。また677年11月21日には、天武天皇が新嘗をしたとの記載があります。

おそらく、それぞれの天皇に決まり事として伝わっていたと思われますが、定例の儀式として確実に定着していることがわかっているのは元禄時代以後のこと。

いずれにしても、勤労感謝の日は、日本人は元々稲作を中心とした農耕民族ですから、農耕という「勤労」の結果として秋に収穫できたその年の穀物に「感謝」するというのが、本来の意味。

あらためて、古事記や日本書紀に書かれていることが、今の日本人の生活にも関わっていることがわかります。記紀を勉強しておくことは、大事なことだと思います。

スーパーなどでは、すでに今年の新米は流通していますが、新嘗祭までは口にしないのが基本なんだそうです。今日は、今年の恵みに感謝して、初めて新米を食べるという気持ちが大事ということ。

毎日家族のために働いているんだから、1年に1日くらい感謝してもらいたいと思うかもしれませんが、自分に感謝させるための祝日じゃありませんのであしからず。