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2017年11月6日月曜日
記紀のおすすめ本
古事記、日本書紀の原典については、現代語訳も含めて直接読みたい方には、岩波書店版が一番普及しているようです。
似たような主旨であれば、小学館版もあります。
原典だけを見たい、読みたい場合は、ネットでは全文検索が可能なサイトが見つかります。制作者の詳細は不明ですが、よくぞ作ってくれましたという感じ。
古事記全文サイト(http://www.seisaku.bz/kojiki_index.html)
日本書紀全文サイト(http://www.seisaku.bz/shoki_index.html)
全部載っている物は内容量が膨大で、分厚く重たい。文庫版は紙面の都合上見にくいし、当然文字が小さくて(老眼には)読みにくい。それに分冊になると、持ち歩いて時間があるときに行きつ戻りつ的な読み方をするには不便。
特に、日本書紀は長大ですし、事実らしきことの羅列みたいなところがあるので、原典にはあまりこだわらなくてもいいように思います。
そこで、原典はネットの世話になることにして、読み下しと現代語訳が一冊にまとまっているものがおすすめかと。これは、山ほど見つかりますが、前に書きましたが現代語訳は訳者の主観が入りやすい。
古事記で一番手に入れやすく、売れ筋なのは、天皇の親戚筋である竹田恒泰のもの。そして、三浦祐之版「口語訳」というのもあります。竹田版は読みやすいのですが、その分主観的。三浦版は、「・・・でした」がすべて「・・・だったのじゃ」という語りことばになっていて、余計な文字が多すぎて「じゃ」がじゃま。
自分が用意したのは、マイナーなんですが、雑誌の歴史読本の特集を単行本にした「古事記 ~ 神話と天皇を読み解く」というもの。10年くらい前のものですが、評論集もセットでかなりお買い得。
そして、そもそも最初に古事記が面白いと思わせてくれたのが、「愛と涙と勇気の神様ものがたり まんが古事記」です。まんが版は数あれど、中途半端な挿絵程度のものが多い。これは、絵も楽しくて、文字数も適量で入門には最適です。
そして、おそらく次のベストセラーになっているのが「ラノベ古事記 日本の神様とはじまりの物語」で、もう神様たちのキャラが抱腹絶倒に立ちまくっています。しかも、素晴らしいことにネットでも公開していて、さらにラジオドラマ版の音声データまで公開している。
日本書紀については、まだまだ探したりないかもしれませんが、古事記に比べるとあまり本の数はない。コンパクトにまとまったものを探すと、本当に項目の羅列だけになってしまって、古典文学的な雰囲気がまったく無いただの歴史ノートみたい。
でも、できれば一冊にまっとまったもの・・・と探したら今年7月の最新刊で、「解析 日本書紀」というがあった。書評が見つからないので不安だったのですが、取り寄せてみると、程よい解説と程よく整理された現代文で、なかなかの優れものでした。
解説書や研究書はたくさんありますから、気になるタイトルがあれば、それぞれの方の気の向くままどうぞ、という感じ。ただし、思想的な誘導が目的のものもありそうなので、ちよっと気にした方がいいかもしれません。
その中で、「あらすじとイラストでわかる古事記・日本書紀」はコンビニで売っている500円のワンコイン本ですが、紙質はよくありませんが、なかなかの優れもの。これ一冊で記紀すべてのあらすじがわかって、もう最低限の知っているとより深く理解しやすい解説がついています。
ちょっと注意したいのは、成立や内容について偽っている偽書というもの。そもそも古事記そのものさえ偽書論争があるわけですが、記紀については特に「竹内文書」、「ホツマツタエ」という2つのキーワードが深く関係してきます。いずれも記紀より前に作られた編纂資料であるとされたくさんの書籍が見つかりますが、基本的には多くの学者さんからは否定されているもの。
神代の話を、純粋なフィクションとしてだけ楽しみ、そこからスピンオフ作品が生まれれば、それも追いかけたい場合はかまいません。しかし、事実としての古代史を意識するからには、簡単に手を出すことは大変危険なことだろうと思います。
あと、記紀の世界に実際に出かけてみたいという方向けのガイドもいろいろあります。歴史物に強い洋泉社MOOKのシリーズがお勧め。昨年の「古事記 神話を旅する(完全版)」、「日本書紀 古代大和を旅する」が情報が新しくて、それぞれのあらすじも含みますし、写真も綺麗。文字だけ見ているより、こういう本を手元に置いてヴィジュアルに想像するのは楽しみを倍増させてくれます。